ひたむきな姿勢に日本との共通点 アメリカの高校野球事情
小さな球場で行われる試合も、「選手たちは懸命にやって楽しんでいる」
ストライヤーHCに話を聞いた10-11年のシーズンでは8チーム『Sectional』のメリルビル部門大会に参加する中、ブルドッグスは3連勝で優勝。同様の部門大会が州内16箇所でおこなわれ、各優勝チームが『Regional』に進出した。ちなみに参加チーム数は、各部門大会によって5~8校などまちまちで、『Regional』勝者が「State Champion」となる(この年、『Regional』でブルドッグスは連勝したが敗退。惜しくもベスト4止まりで州王者には手が届かなかった)。
アメリカ全土ではなくとも、州王座が決定する大会。日本では「全校応援」など母校のために熱くなるだろう(センバツ出場をかけた秋季大会などは非常に盛り上がる)。しかしここには牧歌的な雰囲気が流れていた。部門大会は日本の地区大会よりも小さい、他校の球場を使用。スタンドは仮設ながら満員ではあるが、観客数はざっと見て100人ほど。ほとんどは選手の家族や友人、恋人だろう。誰もが手を叩き、大声で声援を送っていた
「いくら『Sectional』の決勝でも、観客数はこれくらい。たまにマイナーの立派な球場を使える時もあるけど、プロのシーズンが始まっているから。それでも選手たちは懸命にやって楽しんでいるよ」
やはりプロが「トップ・オブ・トップ」。大会期間中、ホームチームが球場を使えないという「死のロード(※)」などは存在しない。しかし州王者を決める『Regional』の準決勝、決勝は州内のマイナーチームの球場でおこなわれた。特に準決勝以降などは3Aチームの試合後にダブルヘッダーでおこなわれたりする。
「最近は高校からMLBのドラフトに高順位でかかる選手もいる。でもここみたいな田舎からはね……。ほとんどの選手は本格的に続けないけど、何人かは大学などで野球をやってプロを目指す。そういった選手を育て上げるのも楽しい」
当時、そう語っていたストライヤーHCは、16-17年もチームを率いており、在籍15年目(取材時10-11年は9年目シーズン目)を迎えている。過去5度の優秀コーチに輝き、州オールスター、大学へ選手を何人も輩出している名将で、チーム、選手、地元への愛情は強い。