147キロ右腕だけじゃない 市西宮、背番号7が好投で「進学校対決」制す

第99回高校野球選手権兵庫大会3回戦で、長田を10-3の8回コールドで破った市西宮【写真:沢井史】
第99回高校野球選手権兵庫大会3回戦で、長田を10-3の8回コールドで破った市西宮【写真:沢井史】

エース山本ではなく2年生・若林が先発「1試合でも多く先輩たちと」

 第99回高校野球選手権兵庫大会3回戦で、市西宮が長田を10-3の8回コールドで破った。“進学校対決”として注目が集まった一戦。最速147キロ右腕のエース・山本拓実投手を擁する市西宮と、昨春のセンバツに21世紀枠で出場した長田。長田は当時のメンバーが6人残り、経験値の高いチームだ。その打線に、エースがどう立ち向かっていくのかがポイントかと思われたが、市西宮のマウンドに立ったのは背番号7の2年生・若林秀真だった。

 若林はチームの中軸を担う強打者だが、元々は投手。だが、打撃の良さを買われ1年秋から本格的に外野手を始め、春の県大会ではホームランも放った。それでも投手としてのセンスも高く、威力のあるストレートは一級品だ。

 先月末に行われた大阪桐蔭との練習試合では2番手投手として1イニングのみを投げ、入学前から注目を浴びてきた同学年の根尾昂から三振を奪うなど3人で抑えた。「自分の球でもあれだけの打者に通用するとは」。自信になったのはもちろん、野球が一層楽しくなった。「もっともっと上手くなりたい」。上のレベルを見据えて練習にも今まで以上に熱が入るようになった。

 今はエースの山本の後ろに控える“二刀流”としてもチームを支える。「山本さんには練習でも色々なアドバイスをいただいています」。マウンドでは山本と同じように、どんな状況でも冷静なマウンドさばきを見せた。初回にいきなり1死満塁のピンチを背負ったが、内野ゴロ、空振り三振でピンチを脱した。3回には長打も絡めて1点を失ったが、5回を投げて失ったのはその1点のみ。「周りの野手が守ってくれたお陰です。この夏は、1試合でも多く先輩たちと多く試合がしたいです」と笑顔を見せた。

 長田は先発した浜谷淳平が2回に捕まり、好右腕・橋本達弥への継投のタイミングが難しかった。「いけるところまで浜谷で、と思っていたのですが……。市西宮さんは攻撃のそれぞれの役目がしっかりしていた。うちはそれが出来ていなかった」と永井監督は肩を落としたが、先発した浜谷、市西宮の攻撃の流れを一時は食い止めた橋本はまだ2年生。秋以降の両投手の躍動にも期待がかかる。

(沢井史 / Fumi Sawai)

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