完封勝利数の変遷に見る投手分業化の歴史、今やシーズン2桁完封は超レア!?

西武・菊池雄星【写真:編集部】
西武・菊池雄星【写真:編集部】

今季はパ菊池、セ菅野がそれぞれ3完封勝利、NPB最多記録は…

 西武の菊池雄星は8月18日の楽天戦に先発し、9回を2安打無失点に抑えた。9回裏に栗山巧のサヨナラ3ランが出て、菊池は完封勝利。今季3度目の完封は、パ・リーグ最多だ。

 完封勝利とは、先発投手が1人で試合を投げ切り、相手を零封した上でつく勝利だ。9回を零封しても延長戦で降板するなど、勝利がつかなければ完封勝利とは言わない。一方で、試合が成立する5回以降であれば、9回を待たずに雨天などでコールドゲームになった場合でも、先発投手が1人で零封して勝てば完封勝利となる。

 完全試合やノーヒットノーランは別にして、完封勝利は投手が目指す最高のリザルト(結果)だ。

 1942年の野口二郎(大洋)と43年の藤本英雄(巨人)が記録したNPB記録、シーズン19完封勝利を筆頭に、1950年代まではシーズン2桁完封勝利も珍しくはなかったが、先発→救援→抑えと投手の分業化が進むとともに、1人の投手が9回を投げ切る機会が減少し、完封も激減した。

○過去10年のシーズン完封数5傑

2014年 則本昂大(楽天) 7
2010年 金子千尋(オリックス) 6
2011年 ダルビッシュ有(日本ハム) 6
2011年 田中将大(楽天) 6
2010年 杉内俊哉(ソフトバンク)5

 以上、過去10年の5傑はすべてパ・リーグだ。セでは2009年にチェン(中日)と吉見一起(中日)、2010年に館山昌平(ヤクルト)、2015年に藤浪晋太郎(阪神)が記録した4完封勝利が最高だ。最近は、パの方が本格的な先発投手が多いとされるが、それを裏付ける数字と言えそうだ。

 しかし、いずれにしてもNPB記録の19完封勝利とは、大きくかけ離れた数字になっている。

投手の分業化、球数制限…年々難しくなる完封勝利達成

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