広陵・中村はプロでも「即戦力」 名将・野村克也の“右腕”が絶賛する理由
準決勝までに大会新の6本塁打、甲子園を沸かせる強打の捕手は「本当に魅力的」
第99回全国高等学校野球選手権大会は23日、決勝戦が行われる。広陵(広島)と花咲徳栄(埼玉)は、どちらが勝っても初優勝という注目の一戦。ここまで大会の主役を演じている広陵の中村奨成捕手の打撃にも大きな注目が集まる。
中村は22日の準決勝・天理(奈良)戦で2本塁打をマーク。今大会通算6本塁打として、32年前の1985年に清原和博(PL学園)が残した1大会の通算最多本塁打記録(5本)を更新した。さらに、7回には満塁で走者一掃の適時二塁打も放つなど1試合7打点の大暴れで今大会17打点とし、2008年に萩原圭悟(大阪桐蔭)がマークした1大会の通算打点記録(15打点)も更新。塁打数も「39」まで延ばし、09年の河合完治(中京大中京)の「28」を大きく上回る大会新とした。
衝撃的な活躍を続ける強打の捕手は今秋のドラフトの目玉にもなりそうな気配だが、専門家のリアルな評価はどのようなものなのか。現役時代に南海、ヤクルトでプレーし、引退後は名将・野村克也氏の“右腕”としてヤクルト、阪神、楽天でヘッドコーチや2軍監督を務めた松井優典氏は、高卒でプロ野球の世界に飛び込んできた選手を数多く見てきた。近年では、ヤクルトの山田哲人内野手が入団時に2軍の育成コーチと寮長を兼務するなど、たくさんの“金の卵”を見る立場にあったが、中村については「即戦力ですね」と断言する。
「本当に魅力的な選手ですね。プロに入ってきた高卒1年目の選手を見る時、私は1番は素材、身体能力を重視していました。彼はあれでスピードがあって、瞬発力もある。そこにプラスして、プロでしっかりと体を作ったら、どこまで鍛えられるかと考えてしまう。もし捕手として駄目でも、あれだけの身体能力があれば、違うポジションでも十分に使える。キャッチャーでワンバウンドを止めるフットワークなどを見ていたら、十分に内野手としても使えそうな素材の良さを感じる。あれで足も速いのだから凄い。あと、もう1つは伸びしろ。そこが一番最初に見るところ。彼については、まだまだ伸びしろを感じる」
伸びしろを判断するのは「頭」。その選手の考える力だという。中村はその部分で秀でていると松井氏は感じている。