「幼稚園に行ってほしい」―野球離れに危機感、宮本慎也氏が訴える切実な思い
無償でイベントを続けている宮本氏「できる人は限られている」
ティーに載せたボールを打つ競技では、子どもだけでなくお母さん、お父さんも参加する。豪快に飛ばすお父さん、見事に空振りするお母さん、会場は笑いに包まれた。
ファイナルはティーボール。ティーのボールを打ってボールがホームに戻ってくるまでに回った塁の数を競うゲームだ。24人が3チームに分かれてゲームをしたが、ホームでボールを受けるキャッチャー役は全試合で宮本氏が務めた。宮本氏は審判もつとめ、子どもが打つたびに「今のは3点」「4点」と点数を発表した。
およそ2時間、宮本氏はフルに動いて声を張り上げ、子供たちに野球の基本動作の手ほどきをした。存分に体を動かした24組の親子は、野球の楽しさにふれて満足そうだった。2000本安打を達成した大選手の宮本慎也氏がここまでやる。その熱意は子供たちにも、お父さん、お母さんにも伝わったようだ。
このイベントは、一部上場の証券、商品先物取引会社の株式会社マネースクウェア・ジャパンがスポンサードしている。しかしそれは広報やイベントへの支援であり、宮本氏自身は無償でこのイベントを続けている。また、幼稚園への呼びかけや会場でのサポートは、品川区が協力しているが、会自体は宮本氏がすべてを取り仕切っている。それだけ「野球離れ」に対する危機感があるのだ。
「ボランティアだから他の元選手には気軽に声をかけることができない。彼らにも自分の生活があるし、できる人は限られています。今は、自分のできることをとにかくやっているという感じです。
でも、選手会には『幼稚園に行ってほしい』と言い続けています。僕ら元選手ではなく、現役選手が顔を出してくれれば、インパクトは違ったものになると思います。僕自身は地道に続けて、野球のすそ野を広げることに貢献したいですね」
(広尾晃 / Koh Hiroo)