藤田、小谷野、五十嵐…チームを支える“移籍組ベテラン選手”たちの活躍
ソフトB五十嵐はキャリアを重ねて徐々に進化
しかし、2014年になると出場機会が減少。FA権を取得していた小谷野は、出場機会を求めてこの権利を行使し、オリックスへと移籍する。開幕戦の先発メンバーに名を連ね、新たなチームの一員として迎えた2015年だったが、左足の肉離れなど故障に苦しめられた。
再起を期して臨んだ今季は「5番・三塁」として開幕スタメンに名を連ねると、4月27日の埼玉西武戦ではサヨナラ勝利を呼び込む一打を放つなど、持ち前の勝負強さを披露。3・4月は打率.360を記録して好調なスタートを切り、9月に今季初の登録抹消となったものの、復帰後はその打棒を遺憾なく発揮。9月14日の福岡ソフトバンク戦では1試合4打点を記録し、チームをけん引している。
最後は、福岡ソフトバンクの五十嵐を紹介したい。1997年、東京ヤクルトに入団した五十嵐は、160キロに迫る直球を武器に、2000年には56試合、2002年には64試合と登板数を重ね、中継ぎ陣の柱として活躍。2004年には最優秀中継ぎのタイトルを獲得し、2013年、メジャーリーグを経て福岡ソフトバンクに入団する。
直球とフォークボール、さらにアメリカで習得したナックルカーブを武器に、加入1年目から51試合に登板すると、翌年には10年ぶりとなる60試合登板(63試合)を達成する。59回1/3を投げて71奪三振という驚異的な数字を残して、チーム2年ぶりのリーグ優勝に貢献。2015年も54試合を投げ10を超える奪三振率を記録し、チームの連覇の立役者の1人となった。
2016年は左太ももの肉離れに見舞われ、今季も7月中旬に同様の箇所を痛めたために戦線を離脱。復帰まで約2か月を要したものの、2年ぶりに40試合に登板し、ここまで防御率1.25と強力リリーフ陣の中で存在感を示している。奪三振率は6.00と前年までより数字を落としているが、それはむしろキャリアを重ねた右腕が、投球スタイルを柔軟に変化させているとも考えられる。昨年参戦したウィンターリーグでは先発も経験したリリーフエースは、進化を続けて変わらない存在感を示し続ける。
ベテランと言えば、小谷野とともに強力なオリックス打線を支える中島、前人未到の50セーブを達成したサファテも、シーズンを通して活躍している。惜しまれつつも引退した井口(千葉ロッテ)や、現在はファーム調整中の渡辺直(埼玉西武)や松井稼(楽天)など、パ・リーグにはまだまだ「ベテラン移籍組」の選手たちがいる。経験豊富ないぶし銀たちの輝きが、今季のパ・リーグの戦いを面白くしてくれたことは間違いない。