米マイナーと二重登録可能、移籍が容易…躍進するオランダ、本国の野球事情
入場料無料? オランダ野球はどうやって成り立っているのか
オランダ野球は、近年急激に成績を伸ばしている。WBCでは、2006年は1次ラウンド敗退、2009年は2次ラウンド敗退であったにもかかわらず、2013年、2017年ともにカリブ海に位置する自治領キュラソー島出身の選手を中心にベスト4と躍進を見せた。では、オランダ本国の野球事情はどうなっているのか。我々は、ヨーロッパ野球界の“重鎮”について調査するため、現地へ足を運んだ。
オランダ王立野球・ソフトボール協会(KNBSB)は1912年に設立され、1922年に国内リーグが開始された。現在では7チームが1部として1年間リーグ戦を戦い、プレーオフののち、上位2チームでオランダシリーズを行う。これまで日本で新人王を受賞した元阪神タイガース上園など、日本人プレーヤーも参加しており、日本との繋がりも少なからず存在する。
国内リーグの選手にプロ野球選手は少なく、多くの選手は野球以外の職に就いている。我々が取材したオランダ野球界の横綱「キュラソーネプチューンズ」(現在5連覇中)でも、19人中12人が「兼業野球選手」であった。そのため、練習は火曜日の夜のみで、木・土・日が試合日となっている(木・土はナイターゲーム、日はデーゲーム)。ちなみに、水曜日はナショナルチームの練習日として設定されている。
選手の給料はオランダオリンピック委員会が支払っており、プロ野球選手は公務員のような位置づけとなっている。基本給は26歳まで一律、それ以降は年齢に応じて漸増し、試合での活躍次第でインセンティブが発生する。
日本と異なり試合会場ではチケット代を払わずに観戦することができる(一部有料の球場も存在)。また、バックネット裏に売店があり、飲食物を買ってそこで気軽に観戦できる。オリンピック委員会から給料が出ているため、“無理にお金を儲けなくていい”。オランダならでは仕組みだ。