ボール球で4度に1度は奪空振り 打者が手を出す田中将大のボール球がスゴい
「十中八九ボールと判定される球」の奪空振り率はメジャー4位
マリアーノ・リベラのカットボール、クレイトン・カーショーのカーブボール、アロルディス・チャップマンの剛速球、ダルビッシュ有のスライダー。メジャーを代表する投手はそれぞれ自分が得意とする決め球を持っている。では、ヤンキース田中将大といえば…? もちろん、落差の大きなスプリットだ。
では、そのスプリットがどのくらい効力を発揮しているのか。MLB公式サイトのデータ解析システム「スタットキャスト」によると、田中がストライクゾーンを大きく外れ「十中八九ボールと判定される球」で空振り奪った率は24.9パーセントで、今季メジャー先発投手で4位にランクインしている。
ストライクゾーンとボールゾーンの境界線で、球審によってはストライクともボールとも判定されそうな領域を「ボーダーライン」と呼ぶが、今回対象となっているのはボーダーラインをさらに外れた「ノンボーダーライン」に投じられた球だ。もちろん、通常スプリットが最終的に行き着くストライクゾーンの下だけではなく、上下左右あらゆる方向が対象となるため、打者が空振りした球種はスライダーやシンカー、高めの直球なども含まれているが、日本人右腕がいかに打者がバットを振りたくなるような球を投げ、思い通りに振らせているかが分かるだろう。
さらに、長打での出塁を重視した出塁率、wOBA(Weighted On-Base Average)という打者の攻撃力を示す指標を見てみると、田中が投げたストライクゾーン内の球に対し、打者はwOBA.370というリーグ平均より0.32高い数字を残しているが、ストライクゾーンの最も低いところ、もしくはそれを下回るボールゾーンでは、wOBAは.213に急降下。田中がゾーン低めを得意としていることが分かる。
ちなみに、明らかなボール球で空振りを奪った率で、今季メジャー上位3傑に入ったのは、3位がクリス・セール(レッドソックス)で26.2パーセント、2位がコーリー・クルーバーで27.7パーセント、そして堂々の第1位はアレックス・ウッド(ドジャース)で28パーセントだった。
今季はメジャー総本塁打数が史上最多となる6105本に達するなど、投手に比べて打者の存在感が増す中で、明らかなボール球でバットを振らせることは、投手にとってこの上ない醍醐味。来季もまた田中が打者に空振りさせるシーンで楽しませてもらいたいものだ。