王さんとも見解一致 日ハムコーチ就任の緒方耕一氏が語る清宮育成法
清宮の守備位置は…栗山監督は「全部守らせる」
――どのように指導していくかなど考えていることはありますか?
「清宮くんは高校で111本もホームランを打っているんだから、間違いなく(選手として)良くて入ってきます。だから、やる前から『ああだ、こうだ』というのはどうかなと思うんです。とりあえずはじっくり実戦に入って、10試合とか30打席、50打席くらいは見守らないとダメだなという思いがありますね。1年目からコーチがいじって、結果を残した時に『俺がやったからだ』という考えをもったら絶対にダメだと。解説者、評論家の方も、いい意味でアトバイス的なものはあると思うんですけど、ちょっと最初はぐっと我慢していただいて。それでも苦しんでいるというのであれば、僕らも手を差し伸べて。そういう感じでOB、先輩の方に見守ってほしいですね。
先日、王(貞治)さんと食事する機会があったんです。清宮くんは高校(早実)の後輩なので、やはり気にかけていらっしゃるのですが、『最初はそっとしておこうと思うんです』と言ったら、『そうだな。18歳だから、大人のプロの世界に入ったら、見たこともないストレートとか変化球のキレ、種類がある。間違いなく壁に当たったり、苦しんだりするから、(指導は)そこからでいいんじゃないか』と王さんもおっしゃっていたので」
――清宮選手については、打つことだけでなく、走塁や守備も重要になってくるかと思います。
「当然です。プロ野球選手は基本的に、打つだけ、守るだけ、走るだけ、ではダメです。『一芸に秀でた』とよく言いますけど、一芸だけで残っている人ってまずいない。みんな打って守れる、守れて走れる、打って走れる。必ず2つは持っている人が生き抜いてきている。清宮くんは当然、バッティングがあるわけだから、あとは両方を同じように教えていくけど、守備・走塁もうまくなっていかないと。打ったらいいだろう、という考えはプロでは通用しないので」
――守備ではどこを守ることになるのでしょうか。高校では一塁手でしたが、日本ハムには主砲で名手でもある中田選手がいます。
「翔(中田)は年齢も重ねて経験もある。ファーストの守備もうまいし、外野をやらせたら肩も強い。でも、翔と清宮くんを比べて、清宮くんがDHとなると『それでいいのか』となりますよね。それも含めながら、DHを打つだけで守りのリズムがなくてどうなのか、というのは勉強のためにやらせる可能性はあるかもしれません。でも、DH専門とか、そういう考えはまったくないですね。当然、守らせます。
どうなるかは、これからでしょうね。栗山監督は『全部(のポジション)守らせる』と言ってます。それも『できるか、できないか』じゃなくて『やるか、やらないか』という部分もあると思うので。即戦力という目で見られているかもしれないけど、18歳ですから、外野とかサード、極端に言えば二遊間もあるかもしれない。それが遠回りになるかといったら、決して彼の野球人生で遠回りにはならないと思うので。なので、栗山監督がどういう風に守備をやらせたいとこちらに指示を出してくれるのか、ワクワクする部分もありますよ」
パ・リーグでは2017年、ソフトバンクが圧倒的な強さを見せて優勝。そのまま日本一を勝ち取った。大谷だけでなく、増井浩俊投手、大野奨太捕手、助っ人のクリス・マーティン投手らが抜けることになる日本ハムは新シーズン、再び頂点に立てるのか。インタビュー後編では、走塁意識の改革、注目ポジションのレギュラー争い、そして、巨人の後輩にあたる大田泰示外野手について語ってもらった。
(Full-Count編集部)