「勝って恩返しするんだ」―楽天球団社長が明かす、故星野氏の東北への思い

故・星野氏へ献花を行う楽天の選手とスタッフたち【写真:高橋昌江】
故・星野氏へ献花を行う楽天の選手とスタッフたち【写真:高橋昌江】

星野氏が病状を伝えられてからの1年半も回顧「去年優勝できず悔しがっていた」

 楽天の立花陽三代表取締役社長が9日、楽天生命パーク宮城に設置されている星野仙一取締役副会長の献花台の前で黙祷と献花を捧げた。

 梨田昌孝監督、池山隆寛2軍監督、コーチ陣とともに献花台の前で手を合わせた立花社長は「これからシーズンが始まるので見守ってほしい。チームがたるんでいたらカツを入れてほしいという話をしました」と語った。1年半前に星野副会長から病状を伝えられ、「そこからは病気と戦いながら、どうしたらチームが強くなるか、ドラフトはどうするかという話をしていた1年半だった」と明かした。

 7日から楽天生命パーク宮城に設置された献花台には多くのファンが訪れている。この日もファンが絶えず訪れ、故人をしのんだ。星野副会長が監督に就任した1年目に東日本大震災が発生。「被災地に対する思いは人一倍、強い方だった」と立花社長。就任3年目の2013年に球団創設初の日本一に導き、復興に進む東北地方に明るさをもたらした。

 立花社長は「復興を願い、普段もお話しされていた。『勝って恩返しするんだ』ということを強く言っていて、本当にプロフェッショナルな生き方をされた方。この(訪れる人の)数を見たり、反響を見たりしていると、しっかり伝わっていたんだなと思う。うわべの言葉だけではない、真の心がファンに届いていたのかなと思います」と話した。

 病状を知っていた立花社長は、昨季の連敗時やクライマックシリーズ前に星野副会長の病状を選手らに伝えたかったと苦しい胸のうちも明かした。「みんなに伝えられなかったのは辛かった。でも、星野さんはそれを望んでいなかった。今回、いろんな方に突然の訃報になってしまったことは申し訳ないと思う一方で、彼の生き様、生き方だったのでお許し願えればなと思います」と話し、「去年、優勝できなかったことを悔しがっていた。もう1回、なんとか」と今季にかける思いを口にした。

 追悼試合や背番号77の永久欠番、お別れの会については「球団において、こんなに大きな人はいない。追悼の試合などはご家族の意向も踏まえてやらせていただければと思っています」と話した。

(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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