【投手の球数を考える】日本の投手の壁?「シーズン3000球」の謎を解くカギは

西武・菊池雄星と楽天・則本昂大【写真:荒川祐史、編集部】
西武・菊池雄星と楽天・則本昂大【写真:荒川祐史、編集部】

PAP10万超で故障リスク増、MLBトップのバーランダー

 MLBの先発投手が普通に投げる「シーズン3000球」が、NPBの投手の限界になっているのはなぜだろうか。それを解明するカギとなる指数がある。それあが、PAP(pitcher abuse point=投手酷使指数)だ。

  PAPは1試合で投げた球数から100を引いてそれを3乗したもの。これを毎試合加算し。この数値の合計が10万を超えれば故障の可能性が高く、20万を超えればいつ故障してもおかしくないとされる数字である。100球以下で降板した試合はカウントしない。

 MLB両リーグの2017年のPAPの上位5人を見ていこう。

○アメリカン・リーグ
1ジャスティン・バーランダー(タイガース、アストロズ)3531球 PAP48732
2クリス・セール(レッドソックス)3428球 PAP 44918
3トレバー・バウアー(インディアンス)3146球 PAP 42038
4ケビン・ガウスマン(オリオールズ)3357球 PAP 33501
5コリー・クルバー(インディアンス)2945球 PAP 26541

○ナショナル・リーグ
1マックス・シャーザー(ナショナルズ)3112球 PAP 42204
2ジェフ・サマージャ(ジャイアンツ)3273球 PAP 39842
3クレイトン・リチャード(パドレス)3045球 PAP 37367
4タナー・ロアーク(ナショナルズ)3216球 PAP 31675
5ジオ・ゴンザレス(ナショナルズ)3264球 PAP 29136

 なお、ダルビッシュ有はリーグをまたいで移籍したのでここには入れていないが、3054球、PAP28029でMLB全体で10位に相当するPAPだった。

 シーズンで3500球を投げたバーランダーだが、PAPは安全圏内の48732。1試合の最多投球は119球で2試合あり、33先発のうち100球以下で降板した試合も6試合ある。ナショナルリーグの1位に入るマックス・シャーザーは、120球以上投げた試合が2試合(121球、120球)あるが、31試合の先発のうち、12試合で100球以下で降板している。MLBでは1登板あたりの球数に、配慮をしていることが伺える。

NPBでトップの楽天・則本はPAP33万弱、西武・菊池も31万超

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