井口監督率いる新生ロッテの挑戦 自発性から生まれるチーム力
鳥越ヘッドコーチは大きな声で「チャレンジできる環境」作り
もちろん、いい点ばかりではない。大所帯、かつメイン球場と第2球場やブルペンが離れているために生まれる効率の悪さがあるなど、細かい改善点や検討課題はある。だが、新たな取り組みに改善改良は付きもの。それ以上に若手選手のやる気や自発性が、確実に刺激されていることに大きな意味があるだろう。若手が勢いづけばレギュラーやベテラン陣も胡座を掻いてはいられず、チーム全体に活気がもたらされる。
キャンプ序盤、チームで一番声を出していたのは、ソフトバンクから招聘された鳥越裕介ヘッドコーチだった。ダイエー(現ソフトバンク)時代のチームメイトだった井口監督が絶大な信頼を置き、入閣を切望した人物だ。「1年目の僕にとっては、チーム全体にどんな選手がいるのかを知るいい機会」と話すコーチだが、大きな声を出して、時には笑いも誘いながら練習を盛り上げるのには理由がある。
「コーチは1つのやり方を選手に当てはめるのではなくて、選手それぞれにあった方法を見つけるのが仕事。1人だって同じ方法はないんですよ。だから、まずは恐れることなく、ありのままを見せてほしい。あれをしてはいけない、これをやらなくてはいけない、ということはない。僕はそれぞれの選手が何をできるか分からないから、先入観を持たない状態でいろいろなことを見たい。どんどんチャレンジできる環境を作るのも、またコーチの仕事だから。選手はみんな目が輝いている。井口監督に期待する思いと勝ちたい思いの表れだと思いますよ」
10日から始まった紅白戦で1軍と2軍が組み分けられる。監督、コーチ、選手の思いが1つにまとまった今季からのロッテ。目に見える結果はすぐに現れないかもしれないが、試行錯誤を繰り返しながらも、面白い存在になりそうな予感がする。
(佐藤直子 / Naoko Sato)