NPB最長記録の育成生活7年 ホークス戦力外の25歳が歩み始めた第2の人生

10年ドラフトは千賀や甲斐と同期、戦力外に「1週間くらい何も出来なくて…」

 2011年に入団してから、計7シーズンをホークスでプレーした。ドラフトの同期には2位で柳田悠岐、そして同じ育成で4位に千賀滉大、5位に牧原大成、6位が甲斐拓也。千賀、甲斐と目覚ましいほどの飛躍を遂げた2人がいる一方で、伊藤の背番号は「127」のままだった。目標としていた支配下契約には、最後まで手が届かなかった。7年間の育成生活は、それまでのNPBでの育成最長契約だった。

 2017年10月下旬。1本の電話がかかってきた。球団事務所へ来るように言われ、翌日、来季の契約を更新しないことを告げられた。戦力外通告だった。「1週間くらい何も出来なくて、ボーッとしていましたね」。この先どうしようか……。しばらく茫然自失としていた。

 球団からは職員としてホークスに留まることも打診された。ただ、現役選手としての未練も、もちろんある。「あと1年どっかで挑戦したいな、という思いもありました」。手術を受けた右肘は回復しつつある。キャッチボールも20メートルほどの距離まで投げられるようになった。続けるか、続けまいか。悩んだ。

 現役生活に終止符を打ち、ソフトバンクホークスの社員として再出発することを決断したのは、家族の存在が大きかった。結婚し、子供もいる。「家族がいるんで、家族のためにはどうにかしないといけないと。自分に残ったものは野球しかない、その野球に関われる仕事があるのならば、それに携わりたいと思うようになりました」。悩んだ末に、球団職員となることを決断した。

 ソフトバンクは昨季、日本人10選手が戦力外などで退団。そのうち現役を退いた5人全員をソフトバンク本社やソフトバンクホークス球団の社員として雇用した。選手のセカンドキャリアを球団がサポートしようとしているからだ。球団はこの戦力外となった選手に向けて2日間の研修も開催。初日は言葉遣いなどのビジネスマナー、2日目は基本的なパソコンの使い方を教え込んだ。

これまで知らなかった会社員の世界

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