奮闘も2校が初戦敗退 21世紀枠に名将提言 「面白い野球」実現のために―
比屋根氏が21世紀枠に提言
第90回記念選抜高校野球は24日、大会2日目を終えた。第1試合は日大三(東京)が5-0で由利工(秋田)を下し、第3試合では日本航空石川(石川)が10-0で膳所(滋賀)を破った。今大会の21世紀枠3校のうち2校が初戦で姿を消した。
由利工は好投手・佐藤亜が好投を見せ、滋賀県屈指の進学校・膳所はデータ野球を駆使し序盤を互角で戦う熱戦を見せた。今大会、「Full-Count」で解説を務める比屋根吉信氏(元興南、京大監督)は今後の21世紀枠校の組み合わせに関して提言を行った。
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これまでも21世紀枠については様々な意見が飛び交っていますが、やはり選抜で選ばれた学校とは力の差があるのは事実です。今日の試合では21世紀枠で選ばれた2校が初戦で姿を消す形となりましたが、それぞれが特色を生かした戦い方を見せ、非常に見応えがありました。結果を見れば、0-5、0-10の完封負けでしたが、その中で経験の差も大きかったと思います。
日大三、日本航空石川は秋の明治神宮大会に出場しており“勝ち抜いたチーム”です。21世紀枠はもちろん、県大会ベスト8以上のチームで実力もありますが、勝ち抜いたチームに比べればやはり少し分が悪い。今日の2試合も序盤は互角の戦い方を見せるなど、甲子園で試合をすることによって成長したはずです。
これはあくまでも私の意見ですが、21世紀枠で選ばれた学校は必ず初戦で当たるようにする。そして勝ったチームが次の選抜校と当たるようにすれば、より面白い試合が見られるのではないでしょうか。甲子園の雰囲気を感じ、経験を積み、「1勝を挙げた」自信を持つことで、強者相手にも一層、好ゲームを演じることができると思います。もちろん、負けたチームもそこで得た経験は大きいですから。
夏の甲子園とは違い、選抜大会は抽選会の時点で決勝までのトーナメント表は変わらない。一つの山(ブロック)を21世紀枠で埋めることは可能です。21世紀枠で選ばれる3校を偶数校(2校、4校)にして左右のブロックに分けてやればいい。今日のゲームを見ても、初出場、何十年ぶりに出場する高校にはたくさんの応援団が駆けつけていました。多くの観客が入り、チームも大きなプラスを得られる。これが実現すれば、また面白い野球が見ることができると思いますね。
〇比屋根吉信(ひやね・よしのぶ)
1951年9月19日、兵庫県尼崎市出身。66歳。報徳学園高から大阪体育大に進学。卒業後は西濃運輸で日本選手権にも出場。1976年に沖縄・興南高の監督に就任。仲田幸司、デニー友利ら多くのプロ野球選手を輩出。監督生活10年間で春夏通算6度、甲子園に導き、1980年の選手権大会ではベスト8入りするなど同校を強豪校に作り上げた。その後は社会人野球・阿部企業、熊本・有明高の監督を務める。2010年から12年まで関西学生野球リーグの京都大学の監督を務め、田中英祐(元ロッテ)を育てた。
(Full-Count編集部)