大差で決着がついた強豪対決 東海大相模と聖光学院、勝負を分けた「差」

大会5日目の第1試合は東海大相模が聖光学院を強打で圧倒
大会5日目の第1試合は東海大相模が聖光学院を強打で圧倒

聖光学院が初回に先制したが「1点止まりだったのが痛かった」

 第90回記念選抜高校野球は27日、大会5日目を迎え、第1試合は東海大相模(神奈川)と聖光学院(福島)の強豪対決となった。打撃に勝る東海大相模が12-3で圧倒する展開となった一戦について、沖縄・興南高校で春夏通算6度の甲子園出場を果たし、京都大学などでも監督を務めた比屋根吉信氏(66)に解説してもらった。

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 両チームともに選手のレベルが高く、能力的には点差ほど力の差はなかった。大差となった要因は「ボールの見極めの差」だ。東海大相模のエース・斎藤は昨秋に右手を骨折し10月以来の公式戦のマウンド。聖光学院としてはこの初回に先制点を奪い、流れを取ったかに見えたがボール球に手を出し、チャンスを自ら潰し1点止まりだったのが痛かった。

 逆に東海大相模としては「1点なら大丈夫」との安心感が見えた。激戦区・神奈川を勝ち抜く術を知っている門馬監督の表情にもそれは現れていた。聖光学院の先発は左の技巧派・高坂。緩急を使い、打者の打ち気を誘う投球で初戦を突破したが、東海大相模の打線はしっかりとボールを見極め、好球必打で攻略した。

 緊張感ある初回のマウンドを1点で切り抜けた東海大相模の斎藤はその後は力のあるボールで要所を抑え込んだ。ただし、先述したとおり聖光学院がボール球に手を出してくれたのも事実。スイングスピードはあるが、ボール球を打ってはやはりヒットにはならない。実際にフライアウトは18個を数え、捉えた打球ではなく擦った打球が多かった。

 前評判が高くプロ注目の3番・森下はやはり好打者だ。長打も打てる打者だが、選球眼もよくボール球に手を出さない。率も残せる隙がない打者だ。金属バットを使う高校ではホームラン打者だが、将来的にはアベレージを残す打者に成長するとみる。走力もあり、出塁率も高い1番打者として期待したい打者だ。

 聖光学院がみせた積極性は素晴らしかったが、場合によってはその積極性が雑な攻撃になることもある。状況によって臨機応変な打撃ができれば、チーム力はもっと上がってくる。夏に向けた課題ははっきりしているだけに、楽しみなチームだ。

 〇比屋根吉信 (ひやね・よしのぶ)

1951年9月19日、兵庫県尼崎市出身。66歳。報徳学園高から大阪体育大に進学。卒業後は西濃運輸で日本選手権にも出場。1976年に沖縄・興南高の監督に就任。仲田幸司、デニー友利ら多くのプロ野球選手を輩出。監督生活10年間で春夏通算6度、甲子園に導き1980年の選手権大会ではベスト8入りするなど同校を強豪校に作り上げた。その後は社会人野球・阿部企業、熊本・有明高の監督を務める。2010年から12年まで関西学生野球リーグの京都大学の監督を務め、田中英祐(元ロッテ)を育てた。

(Full-Count編集部)

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