日ハム宮西が挑む4センチの変化 10年連続50登板の鉄腕がフル回転宣言
実績あるリリーフ陣がチームを去り、計算できるのは宮西だけ
万全の状態で迎えた今季、鉄腕にかかる負担は一層大きくなりそうだ。昨季途中に谷元圭介投手が中日にトレード移籍、オフにはセットアッパーのクリス・マーティン投手、クローザーの増井浩俊投手が退団したからだ。今季クローザー候補の鍵谷投手も右尺側手根屈筋の筋挫傷で戦線離脱しており、実績のあるリリーフは宮西1人しかない。セットアッパーに新外国人のマイケル・トンキン投手、クローザーに21歳の石川直也投手を据えてスタートしたが、ブルペンがどう動いていくのか未知数だ。
「1年計算できるのは僕だけ。僕が動き回らないといけないと思っているので、6回から9回までフォローに入る。1か月くらいしたらチームの流れがわかってくると思う。落ち着いてきたら固定になるんじゃないかな。それまでの1か月は4イニング働くつもり」と想定しながら準備を進める。
何度も修羅場をくぐり抜けてきた経験を若手に伝えることも役目になる。実際、リリーフに失敗した若手をなぐさめることも、叱咤激励することもある。
「やられた時、悪い時にいかに修正できるか。それをやり続けられたら1軍に定着するし、できないと万年1軍を行ったり来たり。(失敗すると)特に勝ちパターンのピッチャーはメンタルを先にやられて、投球術も窮屈になってしまう。慰められても本来の力にはならないので、いかに自分で乗り越えられるかどうか。自分も弱かったけど、先輩にフォローされたし、向かっていく気持ちだけは折れなかった。リリーフ向きの性格だったんだね」と笑う。
新人から10年連続で50試合以上登板という離れ技を演じたリリーフのスペシャリストには、勝敗に直結する場面を574試合こなしてきたからこそ言えることがある。「若いということをピッチャーは言い訳にできない。ピッチャーは(チームを)勝たすことはできない。負かすことしかないできなんだから。しっかりやらないといけない」
開幕1軍入りしたリリーフ投手陣は32歳の宮西と28歳のトンキンを除くと一番上は26歳の公文克彦投手。平均年齢25.4歳と若い。発展途上の若手が、目の前にいる最高のお手本からがどんな影響を受けて、どんな成長を遂げるのか。その化学反応に注目したい。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)