「北海道発 チア名鑑」横浜から北海道に移住 身長150cmの新メンバーは根っからの応援リーダー

倍率19倍のオーディションを突破して横浜から札幌に移住した若井知世さん【写真:石川加奈子】
倍率19倍のオーディションを突破して横浜から札幌に移住した若井知世さん【写真:石川加奈子】

「ファイターズガール」の熱い思いに迫る「やりたいことを貫きたい」

 スタジアムを鮮やかに彩るチアリーダー。地域から愛され、絶大な人気を誇る日本ハム球団公式チアリーダー「ファイターズガール」のメンバーの熱い思いに今年も迫る。

 第1回は、倍率19倍のオーディションを突破して横浜から札幌に移住した若井知世さん(23)を紹介する。

 身長150センチの小柄な体を目いっぱい使ったダイナミックな動きが目を引く。「小さいので、グラウンドに立つと、あまり見えないと思います(笑)。踊り方や表現の仕方、体の使い方など、どうやったら大きく見えるのか考えています」と研究熱心さは人一倍だ。

 小さな体には情熱が詰まっている。東海大在学中には就職活動も行っていたが「やりたいことを貫きたい」と昨年12月にファイターズガールのオーディションを受けた。縁もゆかりもない北海道を選んだ理由は「ファンの方々と一緒に盛り上げていくことが魅力」と12球団で唯一観客席に設置されている応援ステージに惹かれたからだった。

 3月3日のデビュー以来、応援ステージに上がる度に喜びを実感している。「想像を遥かに超える楽しさです。得点が入りそうなチャンスの時、みんなで一緒に歌って盛り上げる。その熱気を近くで感じられますし、YMCAなど皆さんに声をかけると一緒に踊ってくださることがとてもうれしいです」と充実感を味わっている。

 観客と一体となった応援に憧れた原点は、甲子園での経験にある。09年夏の甲子園に横浜隼人高が初出場した際、当時横浜隼人中3年だった若井さんは、学校関係者とともにバス50台で甲子園に乗り込んだ。初戦は伊万里農林(佐賀)に勝ち、2回戦で現西武の菊池雄星率いる花巻東に敗れた。「それまで野球を知らなかったのですが、こんなにたくさんの人が応援して盛り上げているんだと感動しました。それで高校ではチアダンス部に入りましたが、甲子園には行けなかったんです。その悔しさがあって、いつかまた野球をダンスで盛り上げたいという気持ちがずっとありました」と熱く語る。

 応援の力を信じているからこそ、勝っている時ばかりではなく、負けている時にも全力で応援する。「最後まで諦めずに全力でパフォーマンスをすれば、お客様にも伝わると思いますし、それで雰囲気が変わることがあると思います」。劣勢を跳ね返す雰囲気づくりの一助を担う自覚を持ち、チームの勝利を信じて声を枯らす。

 ファイターズガールでは1年目だが、15年には巨人の硬式マスコットガール「ヴィーナス」に在籍していた。昨年はプロバスケットボール「Bリーグ」のアルバルク東京の試合で、レポーターを務めていた。「もう少ししたらテラスステージもできて、司会の機会もあると思います。積極的にMCもやって、勉強しながら、しゃべりもダンスもできるようになりたいです」と過去の経験を生かしながら、新天地でパフォーマンスに磨きをかけるつもりだ。

 今年2月に北海道に引っ越してきた時には多少不安もあったという。「あんなに雪が降るのを見るのは初めてでしたし、気温もマイナスの世界。歩くのも怖かったですし、生きていけるかなと心配でした」という言葉も今では笑い話になっている。「これからいろんな土地に行くのが楽しみです。函館の夜景を見てみたいですね」と目を輝かせる。根っからの応援リーダーが、全道各地に応援ムードを広げていく。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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