「プロ野球とビジネス」―MLBとNPBになぜ約8000億円の差が生まれるか

MLB放映権料の高騰の理由とは

 この高騰の理由は主に3つ挙げられる。1つ目は、リーグが放映権を一括管理していることで放映権の価値が上がっていること、2つ目はアメリカにおけるスポーツのライブ価値、また3つ目に放映権の買い手が複数存在していることなどが挙げられる。

 このように、MLB球団の収益構造の中で放映権料が占める割合は大きく拡大している。

 ではNPBはどうか。収益構造の中で一番大きいのはチケット売上で、次にスポンサー料、放映権が続くという球団が多い。そんな中、NPB球団も収益構造に大きな割合を占めるチケット販売において、昨今様々なプライシングの試みに挑んでいる。

 例えば楽天では、これまで一律だったチケット料金に、昨年から価格変動制を導入した。これは試合日、ひいては購入のタイミングでもチケット料金が変動していくというもの。需要と供給のバランスで、チケット価格が変動するこの制度は、MLBでは多くの球団が導入しており、すでに定着している。日本では馴染みが薄い制度だが、この価格変動制のように、新たなものを生み出し、また挑戦していくことが、スポーツビジネスのさらなる成長のためにも必要である。

 根岸氏は、プロスポーツの将来のあるべき姿を考えると、「コスト削減よりも売上拡大を目指すべきであり、そのためにどのようにして来場満足度を上げ、再来場率を上げ、そしてユニークユーザーを増やしていくのかを我々は考えていかなければならない」と述べた。

(「パ・リーグ インサイト」森亜紀子)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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