投打に活躍する大谷が周囲に与えるジレンマ 米メディア指摘「欠点は…」
二刀流の起用で、打者としても投手としても規定数には届かず
開幕から約2か月。二刀流の活躍でメジャーを席巻しているエンゼルス大谷翔平投手。27日(日本時間28日)に敵地ヤンキース戦で実現した田中将大投手と対決は、日米両国で大きな注目を集めた。ベーブ・ルース以来100年ぶりの二刀流登場ということで現地メディアもたびたび特集を組み、その並外れた才能を紹介しているが、米大手通信社「AP」でも「出場時間がショウヘイ・オオタニの価値を限定しているのか?」と題した記事で23歳二刀流を取り上げている。
ここまで、打者としては30試合で打率.291&6本塁打20打点、投手としては7試合に先発して4勝1敗&防御率3.35という好成績。記事では、大谷のOPS(出塁率+長打率)は.929でホワイトソックス主砲のキューバ人打者ホセ・アブレイユ(.909)を上回り、防御率(3.35)は昨季アストロズを世界一に牽引したサイ・ヤング投手ダラス・カイケル(3.39)をしのぐと指摘している。投打ともにリーグトップクラスの数字だが、「唯一にして本当の欠点は、単にプレー時間が十分でないことだ。オオタニがMVP候補となっても、この理由により反対される可能性が高いだろう」とし、世間を沸かせる二刀流での起用が出場機会を減らし、個人タイトルという観点から見た場合、障害になりかねないことに懸念を示した。
メジャーという一流の舞台では、投げるだけでも打つだけでも、高いパフォーマンスを維持するには大きな努力とエネルギーが必要になる。ましてや、その双方を成し遂げようというのだから、エンゼルス首脳陣が時に大谷の疲労を考慮して先発ラインナップから外し、体力の回復に務めさせることも納得がいく。記事では、マイク・ソーシア監督が「もちろん、リカバリーという観点から、投打におけるあらゆる挑戦を乗り越えるために、十分体が回復していることを確認したい」と話したことを紹介。「投球に集中できるように、先発する前には十分な時間を与える。状況により普通1日か2日前で、もちろん先発した翌日は回復に充ててもらう」という起用方針にも触れている。
大谷は、ここまで打者として30試合に出場して打率.291、6本塁打20打点を記録。投手としては、7試合に先発して4勝1敗、防御率3.35と上々の成績で、投打ともに規定数には満たないものの、チームの起用方針が間違っていないことを証明しているだろう。チームは54試合を終えて29勝25敗と勝ち越しているが、ア・リーグ西地区ではアストロズ、マリナーズに次ぐ3位に位置している。記事でも指摘する通り、「シーズンが進むにつれて、チームがオオタニをもっと使いたくなり、彼が貢献できる上限を試してみたくなるのかどうか」は興味深いところだ。
大谷自身はもちろんだが、チームの置かれた状況が、今後の二刀流起用のカギを握るのかもしれない。
(Full-Count編集部=AP)