打者は広島丸、投手はヤクルト小川 セイバー目線で選ぶ6月のセ月間MVP

青木と丸の打点の差は、前を打つ打者の調子で左右された数字

◯6月月間MVP セ・リーグ打者部門
丸佳浩(広島東洋カープ)

OPS 1.231 wOBA .512 出塁率.490 長打率.741 本塁打8(すべてリーグ1位)
RC27 11.50 (リーグ2位)

 NPBの候補選手は10名ですが、その中に丸の名前はありません。6月22日に候補が発表された時点での丸の成績は

 打率.302 本塁打3 打点7 OPS .988

 と突出した数字は残していませんでした。しかしリーグ戦が再開されてからの丸は
 
 打率.429  本塁打5 打点8 OPS 1.661
 
 と追い込みをかけ、本塁打8をはじめ、OPS、wOBAといった指標はリーグ1位となりました。なお、候補の中で最も優秀な成績を収めたのが東京ヤクルトの青木宣親です。

丸佳浩
打率.346 8本 15点 得点圏打率.227

青木宣親
打率.388 4本 22点 得点圏打率.600

 青木も候補発表の時点では、打率.322、打点7だったのですが、こちらもリーグ戦再開後に打率.538と打棒爆発。さらには24日から1番に入った西浦直亨が交流戦後打率.432、OPS1.259と大活躍。そして得点圏打率がなんと6割。そのため打点も稼ぎまくり、月間リーグ1位の22となりました。打率、打点、得点圏打率が評価されやすい本家の月間MVPの最有力候補と言えるでしょう。

 ちなみに丸の得点圏打率は.277。本塁打8本もソロが7本、2ランが1本で、本塁打による打点が9、トータルでも15に留まっています。それもそのはず、広島の1、2番の打撃成績が
 1番 出塁率.359 OPS .708
 2番 出塁率.268 OPS .529
と振るわず、丸の前にランナーを貯めることができなかったことを物語っています。このように打点は本人の調子よりも、前を打つ打者の出塁状況によって大きく変動する指標なのです。

 では、セイバーメトリクスの指標で両者を比較してみます。

丸佳浩
OPS 1.231 出塁率.490 長打率.741 wOBA .512 RC27 11.50

青木宣親
OPS 1.168 出塁率.485 長打率.682 wOBA .500 RC27 13.54

 選手の得点創出能力を測るRC27では青木が上回りましたが、他のセイバーメトリクスの指標ではすべて丸が月間1位となりました。

 なお青木は6月30日の阪神戦で頭部に死球を受け負傷退場となり、容体が心配されました。しかし翌日、試合は欠場となりましたが、登録抹消されずベンチ入りを果たしています。

 今月のように候補発表の後、成績を急激に上げた場合、NPB公式の月間MVPに推挙されることはあるのでしょうか。

投手部門はヤクルト勢の争い、ファン投票では守護神・石山が選出されたが…

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