京都・南陽、12人が残した足跡と今後への警鐘 部員減少で秋は連合チームに…

秋の大会は連合チームとして出場することが決まっている南陽高校【写真:沢井史】
秋の大会は連合チームとして出場することが決まっている南陽高校【写真:沢井史】

9人の3年生が引退すると、秋に残るのは3人のみ

 第100回全国高等学校野球選手権記念の京都大会2回戦が15日、わかさスタジアムで行われた。京都産業大付が8回コールドの11-4で南陽に勝利した。敗れた南陽は3年生が引退すれば部員は3人となり秋の大会は連合チームとして出場することが決まっている。

 12人で挑んだ南陽の夏は初戦で終止符を打つことになった。「序盤のチャンスでもっと点を取れていたら良かったですが…。(中盤の大量失点も)中継ミスなど、もったいない点の取られ方でした」。古園雄基監督は悔しさを噛みしめながら振り返った。

 確かに防げる失点はあった。4回は無死から走者を溜めたが、内野ゴロが悪送球となりピンチが広がり、相手の攻撃に勢いをつけてしまった。5回は守備の乱れから走者を還してしまう場面もあり、力投するエース寺田の足を引っ張ってしまった。

 元々は守備のチーム。だが、春の府大会で龍谷大平安に0-7と完敗してから打撃力向上にウエイトを置いてきた。中高一貫の府立高で、府内屈指の進学校。運動部は盛んだが、練習は学校のグラウンドを各部で共用している。放課後の練習は内野のスペースしか確保できず、打撃練習は朝7時からの朝練で補う。

 男子ソフトボール部はインターハイに出場するほど躍動しているが、人数では負けてもボールを追う意欲は負けていない。「自分たちで考えて一生懸命練習できる選手ばかりです」と指揮官。ただ、5、6月の練習試合では守備が乱れて敗れる試合も少なくなく「ミスが出なければ、という思いはありましたが…」と唇をかんだ。

 9人の3年生がこの夏で引退すると、秋に残るのは1、2年生の3人のみ。秋は連合チームとして戦うことが決まっている。「そこは現実として受け止めないといけない。でも、ウチはバッテリーが2年生。モチベーションを維持するのは難しいかもしれませんが、どんな状況でも前を見ていくだけです」と古園監督は再出発を誓う。

 南陽に限らず、この秋から部員が9人未満となる京都府内の高校は70校のうち8校もある。「こんなに多かったことは今までにはありません」と府の高野連関係者もため息をつく。3年生が引退すると選手がゼロになってしまう久美浜高校のような学校もあり、今後こういった状況に直面する都道府県が増えていくことは間違いない。野球の良さや奥深さを次世代に伝えていくことの重要さをあらためて考えさせられた。

 12人の元気な声と共に、あきらめない姿勢も見せた南陽ナイン。ブラスバンドも従えた大応援団のもとで全力プレーを貫く姿が印象的だった。

(沢井史 / Fumi Sawai)

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