報徳学園が狙うリベンジ 宿敵との再戦へ主将神頭「あの時とは違う」
春季県大会は2回戦で滝川二に1-2で敗れ、神頭は号泣
第100回全国高等学校野球選手権記念東兵庫大会は19日、3回戦が行われ、報徳学園が10-0で神戸甲北に5回コールド勝ちし、4回戦に進出した。
「今日は打つ方も投げる方も理想的な内容だったと思います」。試合後、大角健二監督がこう振り返ったように、報徳学園は投打で試合を優位に進めた。昨秋、今春となかなか手応えのあるゲームメイクが出来なかった中、チームは着実に成長の跡を見せている。
今秋のドラフト指名上位候補の呼び声が高い小園海斗と共に前チームからレギュラーの主砲・神頭勇介がここにきて絶好調なのも大きな要因だ。新チームになってから主砲に座るが、昨秋は調子を落とし打順が下がったことも。春になっても調子が上がらず、1-2で敗れた春季県大会の滝川二戦でも好機に打棒が振るわず、チームは敗れた。
試合後、球場の外で大粒の涙を流し号泣する神頭の姿があった。主将としての責任感も強かったのだろう。「まるで夏に負けた時みたいに泣いていた。春の大会なのにああいうことは初めて」と大角監督も話す。だからこそ、夏は勝たないといけないと思った。
直後のゴールデンウイークに、以前は恒例となっていた校内の宿泊施設に泊まり込む合宿を敢行し、厳しい練習メニューでナインは自己を追い込んだ。早朝の走り込みやノックなど、朝から晩まで野球と向き合う。そこからそれぞれの選手に夏への闘志が芽生えた。
神頭は言う。
「それまでは(中心選手の)小園にどうしても任せきりなところがありました。でも、合宿をしていくと、このままではいけないという気持ちがそれぞれ強くなってきて、自分がここでやってやろうとか積極的になりました。その影響なのか、打線が活発になりました」
以降の練習試合では打ち勝つ試合が増えた。センバツで強力打線を見せた日本航空石川を相手に中盤に打撃が爆発して逆転勝ちを収めたこともあった。神頭自身も、積極的にバットが振れるようになり、練習試合ではホームランを量産。この夏も2試合で4打数4安打、出塁率も10割となっている。
奮起しなければいけない理由がもうひとつある。主力メンバーの稲葉悠が大会直前の練習試合で左足を骨折し、メンバーから外れた。「稲葉のためにもこの夏は勝たないといけない」と仲間への思いも胸に戦っている。
好調を維持しているが、そこに自惚れてはいけないことは自覚している。「自分の結果にこだわりすぎず、投手を助けるためにこれからも打っていけたら。次の試合へ向けて切り替えていきます」、次戦の相手は春に敗れた滝川二だ。「あの時とは違うところを見せたいです」と主将を筆頭に報徳学園ナインは雪辱に燃えている。
(沢井史 / Fumi Sawai)