難病克服した不屈の左腕 ロッテ大隣が引退会見「やり切ったという気持ち」

引退会見に臨んだロッテ・大隣憲司【写真:細野能功】
引退会見に臨んだロッテ・大隣憲司【写真:細野能功】

「黄色靭帯骨化症」から復帰しての勝利は史上初

 ロッテ大隣憲司投手が26日、ZOZOマリンスタジアムでで引退会見。「ホッとした部分もある。やり切ったという気持ち。複雑と言えば複雑だが、悔いなく終われた」と語った。

 2006年大学・社会人ドラフト希望枠でソフトバンクに入団。12年には自己最多の12勝を挙げる活躍を見せたが、13年に国指定の難病「黄色靱帯(じんたい)骨化症」で手術を受けた。14年には日本一に貢献したが、17年に戦力外通告を受け、ロッテにテスト入団した。

 今季は5月2日に古巣のソフトバンク戦(ZOZOマリン)に先発したが、2回もたず7失点で即日2軍落ち。それでも何とか再起をとファームで24試合に登板。3勝0敗2セーブ、防御率4.35だったが、1軍昇格はならなかった。

「一生懸命もう1回マウンドにと思ってやってきたが、現実と動きが離れている部分もあった。自分の思い通りのフォームで身体が動いてくれない。試行錯誤しながらこの数年やってきたが、最後は苦労した」と大隣。2万人に1人が発症すると言われる難病で「勇気をもらったと直接言ってもらったり、苦しんでいる人に、少しでも恩返しができればと思ってきた。何事も一歩ずつだなと、病気をして感じることもあった」と言う。

 奇しくもチームメートの南が同じ黄色靱帯骨化症を患った。「(自分と)すべてがあてはまるわけではないが、自分の時はこうだったなどと話した」とチームメートを気遣った。2013年の6月に手術を受け、失った足の感覚を戻す厳しいリハビリを克服。2014年7月27日復帰2戦目のオリックス戦で白星を挙げた。首位攻防戦の中で、チーム4連勝で2位に1.5差をつける勝利。「あの時の試合はいまだに鮮明に覚えている」という。

 この難病からの復帰勝利は史上初で、南にも大きな励みになる。今後については「どうなるかわからない。野球しか知らない人間。野球に何かしら貢献できれば。指導者? やってみたい気持ちはある」と指導者にも意欲を見せた。

(細野能功 / Yoshinori Hosono)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY