稲葉監督が「ジョーカー」と期待する左腕 ロッテ成田がリード死守で韓国撃破

侍ジャパンU-23代表のロッテ・成田翔【写真:Getty Images】
侍ジャパンU-23代表のロッテ・成田翔【写真:Getty Images】

8回ピンチで登板し9回まで無失点「いい緊張感の中で投げられた」

 コロンビアで行われている野球の23歳以下の世界一を決める「第2回WBSC U-23ワールドカップ」は25日(日本時間26日)、スーパーラウンド初戦が行われ、日本は韓国を3-2で下して初戦白星を飾った。先発の山崎颯一郎投手(オリックス)が5回途中で降板も、稲葉篤紀監督はその後、5人のリリーフ陣を送り込み、リードを死守。3-2で迎えた8回には1死一、二塁のピンチでマウンドに上がった6番手の成田翔投手(ロッテ)が相手9番打者をカーブで空振り三振。続く1番打者には右前打を浴びたが、右翼周東佑京外野手(ソフトバンク)の本塁への好返球で無失点に切り抜けると、9回も韓国打線を封じ込め、今大会初白星を手にした。

「ホッとした。無事勝ててよかった。前半から中継ぎ陣が登板していたし、いい試合をしていたので、後半あるなと思ってしっかり準備していた。何とか抑えられてよかった。いい緊張感の中で投げられたのが一番よかった。プレッシャーはあったが、プレッシャーに勝てたことが、これから来季にもつながると思う。(ロッテで)2軍にいた時もいろんなところで投げていたので慣れているし、こういうことをできないと上では使ってもらえない可能性もあるので、できるようにしておいたほうがいい」

 秋田商からプロ入り後、3年間筋力強化を怠らず、体重は70キロから10キロ増えて80キロになった。「上も下もみっちりやって、今が一番しっくりきている」。今大会中はテレビ中継などで対戦相手の特徴をくまなくチェック。「日本の打者は小さい変化に弱いが、海外の打者は大きな変化に弱い。だから左右よりも高低で勝負したい。振れている打者には100%でいかないといけない」と分析し、変化球を低めに集めてアウトを重ねた。

 稲葉監督が、どんな役割もできる「ジョーカー」として期待を寄せている成田。この日はリリーフ陣が次々と四死球で走者を出すなど苦しみ、7回には2点を与え、1点差に迫れらていたが、最後は成田が試合を締めくくり、チームに白星を手繰り寄せた。

 アジア最大のライバルを下しての勝利に、指揮官は笑顔。「すんなりとはいかない。韓国戦は毎回こういう展開になるが、勝ち切れたのは非常に価値がある。最初に点を取って試合を優位に進められたことが、いい結果につながった。いろいろあったし、後半はずっと韓国のペースだったが、守りもよかった。皆よく頑張った。これはチーム力だと思うので、明日も期待したい」と、接戦をものにした選手たちを称賛した。

(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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