戦力外通告…引退か現役続行か トライアウトは野球人生かけた最後の戦い

テレビ番組で人気、今年は有料化も完売

 トライアウトはいったんNPB球団を離れた選手も受けることができるので、独立リーグなどで現役を続けている選手の姿も見かける。今年戦力外になった選手は、元の球団のユニフォームで挑戦するが、前年以前にNPB球団を離れた選手は、独立リーグなどのユニフォーム姿となる。阪神でセットアッパーとして活躍した西村憲は、2014年に戦力外となり、以後独立リーグで投げているが、毎年トライアウトを受けていた。西村は投げるとマウンドを丁寧にならして深く一礼をして下がっていく。この選手なりのこだわりがあるのだろう。

 球場にはNPBの関係者だけでなく、独立リーグや社会人野球の関係者も駆けつける。また、人材派遣会社や建設会社などの採用担当の姿も見かける。人材難の中、厳しい練習に耐えた野球選手は、一般社会でも有望な人材なのだ。

 最近は「プロ野球戦力外通告」というテレビ番組が人気となり、トライアウトには多くのファンが詰めかける。2016年は甲子園の内野席がほぼ埋まった。2017年のマツダスタジアムも開門前から多くのファンが詰めかけた。

 今年はソフトバンクの2軍本拠地、タマスタ筑後で行われた。観客席が少ないため、遠隔地からくるファンのために1500席を800円の有料席にして事前にネットで販売した。今年は西岡剛、成瀬善久などの有名選手もエントリーし、プレーした。そのこともあってか、観客動員は5536人と多くのファンが詰めかけた。

 トライアウトを受ける選手たちは、満員の観客の前でプレーを披露した。これが最後の晴れ舞台になる選手も多い。トライアウトは、通常のプロ野球とは一味違った「野球人生の総決算」のドラマなのだ。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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