ホークスを戦力外となった39歳 五十嵐亮太の想い「引退考えないわけじゃない」

ソフトバンクから戦力外通告を受けている五十嵐亮太【写真:荒川祐史】
ソフトバンクから戦力外通告を受けている五十嵐亮太【写真:荒川祐史】

日米通算860試合登板、来季は40歳に

 今季限りで現役を引退した中日の岩瀬仁紀投手。愛知大からNTT東海を経て1998年のドラフト2位でプロ入りすると、プロ入りから15年連続50試合超登板、通算1002試合登板、通算407セーブなど、前人未到の記録を次々に打ち立ててきた鉄腕だ。

 この通算1002試合登板という大記録にもし、現役選手で追いつける選手がいるとすれば、それは五十嵐亮太投手だ。敬愛学園高から1997年のドラフト2位でヤクルトに入団。プロとしてのキャリアをスタートさせた右腕は、MLB、そしてソフトバンクでプレーし、ここまでプロ21年間で日米通算860試合(NPBで777試合)に登板している。50試合登板をあと3シーズン続ければ、岩瀬の大記録を上回ることになる。

 だが、この五十嵐には試練が訪れている。今季ソフトバンクはリーグ2位からクライマックスシリーズ、日本シリーズを勝ち上がって日本一に輝いた。歓喜の瞬間を迎えた11月3日から一夜空けた4日、五十嵐は球団から来季の構想外となったことを伝えられた。戦力外通告だった。

 球団との会談を終えた五十嵐は「僕自身は現役続行を望んでいる。そちら向かって進んでいきたいと思っている。体は元気なので」と語り、現役を続ける意向を示した。そして、その言葉の端々から、衰えぬ野球への情熱が滲んだ。

「周りが引退していく中で(引退を)考えないわけじゃない。年齢を考えても引退してもおかしくない時期に差し掛かっている。この世界は好きで続けられるわけじゃない。結果が全てなので、結果を出さないと難しくなる。でもやっぱりまだユニホームを脱ぐわけにはいかない」

 1979年5月28日生まれの39歳。来季中には「不惑」を迎える。同級生で今も現役を続けるのはヤクルトの石川雅規、広島の石原慶幸、阪神の能見篤史、そして楽天を戦力外となった細川亨くらい。同世代も1人、また1人とユニホームを脱ぎ、中には指導者となった者もいる。

 それでも、五十嵐は現役に強いこだわりを見せる。今季は椎間板ヘルニアで春季キャンプに参加できずに大きく出遅れた。7月には1軍に昇格したものの、結果は伴わず。2013年のソフトバンク移籍後で最少となる23試合登板にとどまり、0勝1敗0セーブ2ホールドに終わった。

 とはいえ、体は元気だ。肩肘に問題なく、投げられる状態にあるし、39歳となった今でも150キロ近い真っ直ぐを投じられる。だからこそ、「今年の喜び、悔しさを来年の力に繋げられる自身はある。つづける理由になる。いつ呼ばれてもいいように、状態は作っていきたい。モチベーションは持ち続けていきたい」と、現役への意欲を見せるのだ。

 2013年にソフトバンクに移籍して6シーズンで、4度の日本一を経験した。常勝軍団でプレーする中で、積み上げた“勝者のメンタリティー”、その経験値も五十嵐の武器の1つだ。「ホークスでは6年ですね。日本一は4回。4回も日本一になるなんて、なかなか経験できることではない。貴重で素晴らしい時間を過ごすことが出来ました」。手を差し伸べる球団はあるか。39歳、五十嵐亮太。まだ、きっと輝けるはずだ。

(Full-Count編集部)

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