清水桜が丘は“アクティブラーニング”を導入…21世紀枠候補校、推薦理由は?

高野連が来春選抜の21世紀枠候補9校を発表
高野連が来春選抜の21世紀枠候補9校を発表

かつての“清商”、グラウンドはサッカー部優先…

 日本高野連は14日、来春の第91回選抜高等学校野球大会の21世紀枠の候補校9校を発表した。21世紀枠は練習環境、地域貢献などが選考条件となり、各9地区から推薦される。そこで、ここでは推薦された9校の推薦理由などを紹介。今回は東海地区の清水桜が丘高だ。(主催者発表文より一部抜粋)

 旧静岡県立庵原高校と旧静岡市立清水商業高校を再編し、2013年に新設された普通科と商業科の併設校。過去、旧清水市立商業時代に春2回、夏1回の甲子園出場経験を持つが、30年以上出場していない。地元の清水の人々は、静岡市と合併前の「清水」に強い愛着があり、その思いを酌んでユニフォームに「SHIMIZU」の文字を大きく入れている。勉学と部活動の両立を目指しており、平成29年度には名古屋大、広島大など45名の国公立大学現役合格を果たしている。

 グラウンドはサッカー部と共有。サッカー部は旧清水商業時代から「清商(きよしょう)」として全国に名をとどろかせた。全国高校サッカー選手権には過去12回出場し、優勝3回。清水桜が丘としても昨年度初出場を果たした。OBには川口能活、小野伸二、名波浩など50人を超えるプロ選手を輩出。この人数は全国上位であり、Jリーグ監督経験者もいる。

 そのため、平日の練習はサッカー部が中心で18時までは外野全面をサッカー部が使用。野球部の全体練習はサッカー部の練習終了後からだが、この時間が地域団体への施設開放と重なり、結局は20時頃までの練習時間の中で満足いく練習は出来ない。しかも開校時はグラウンドの完成が遅れ、4年間は地域の学校や近くの球場、場合によっては校舎の空きスペースで練習した。結局、1期生の6名はグラウンドに足を踏み入れることがないまま引退した。

 曲田雄三監督は商業科の教諭で、文科省が推進する教育改革の目玉「主体的・対話的で深い学び=アクティブラーニング」に積極的に取り組んでいる。校内でアクティブラーニング研究チームを牽引し、研究・実践の中心となっていて、学校全体の授業改善に貢献している。さらにアクティブラーニング研究の取り組みで得た手法を野球の指導に取り入れ、「マンダラチャート」を活用して自分に課題を明確にし、それをチームで共有して、その中からチームとしての課題を設定し解決する方策を考える。

 選手は指導者がいなくても自己を見つめ、選手同士で活発に意見を出し合うことができている。試合の中盤、必ず監督が「どうしたい?」と聞くと、すぐに選手から具体的に終盤に向けた方針が返ってくる。それを選手同士で共有し、束になって戦っていく「全員野球」を実践している。そしてここで培われた「主体性」「協調性」は学校生活にも反映され、学習にも主体的に取り組むことで、毎年野球部から国公立大学進学者がいるなど進学実績も上げている、また西日本豪雨災害のボランティア活動に参加したり、生徒会役員となっている選手がいるのは「主体性」の賜物である。

 東海地区は清水桜が丘が満場一致で選出。特に「主体的・対話的で深い学び=アクティブラーニング」を野球の指導にも取り入れ、その成果として自ら試合方針などを話し合いで決め、結果として終盤に追いつき逆転するといった精神力が生まれてきている点。サッカー部とのグラウンド共有や地域団体への施設開放などでグラウンドが満足に使用できない那賀、効率的に練習している点が高く評価された。

(松倉雄太 / Yuta Matsukura)

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