唯一無二の“サブマリン女子”が目指す投手像 「誰にも真似されない投法で」
レイアの山口千紗季を直撃 下手投げの理由は「人の目に付くと思ったから」
女子プロ野球界で唯一のアンダースローとして活躍するレイアの山口千沙季投手。今春に入団し、今季は2試合登板、1勝0敗、防御率10.77だった19歳に、これまでの球歴や1シーズンを終えての変化を聞いた。
――プロ入りするまでの野球経歴について教えてください
「小学校2年生のときにリトルリーグに入って野球を始めました。中学時代はシニアで野球をしながら女子硬式野球チームのLSレディースで、平日は学校のソフトボール部でプレーしていました。高校は開志学園(新潟県)へ進学し、女子硬式野球部でプレーしました」
――なぜ、開志学園高校を選んだのですか?
「進路について考えていた中学生の時に、創部して間もない開志学園から声をかけてもらいました。(埼玉県出身で)地元にある埼玉栄高や花咲徳栄高などの名門に比べて開志高は無名校でしたが、プロ野球選手になるためには試合に出て活躍し、注目されることが一番の近道だと思っていたので、できたばかりのチームで野球をしようと思いました。最終決断する時は、賭け事のような感覚で進学を決めました。
何よりも女子プロ野球選手になりたいという気持ちが大きかったです。小学校4年生の時に女子プロ野球ができて実際に試合を生で観て、これまで何となく思っていた『プロ野球選手になりたい』という夢が目指すべき目標に変わりました。『絶対にあの場所でプレーする』。そう思って野球をしていました」
――今の下手投げに投球フォームを変更した時のことを教えてください
「上から投げても球が遅くて、調べてみると腰の動きがアンダースローやサイドスローの選手と同じだったのでフォームを変えました。小学校3年生の時にサイドスローに変更しました。そこからいろいろな角度から投げることに挑戦して、小学6年生の時にアンダースローで投球フォームが固まりました。投げ方が周りの選手と違うと、自然と人の目に付くと思ったのもあります(笑)」
――プロ野球選手として1年目のシーズンを終えましたが、今季を振り返って感じたことを教えてください
「6月のティアラカップ新潟大会で、初めてプロとしての公式戦を迎えた時に、お金を払って観戦に来てくれたファンの方たちを見て、高校までとは違う舞台で野球をしていること、自分たちがプロ野球選手であることを改めて実感しました。普段の練習でも体力強化・技術向上に向けた基本的なところから、高校までとは全く違いました。プロでの指導は、フォーム1つ1つの動作を細かく指導してもらっています。特に私はアンダースローという特殊な投げ方なので、これまで専門的な技術を教わる環境がありませんでした。入団して今の指導者の方たちに出会い、キャッチボール1つとっても、考えながら野球をするようになりました。自分のプレーと向き合う機会も増え、野球に対する意識が変わりました」
――このオフはどんなことに取り組んでいますか?
「フォーム改善に取り組んでいきます。リリースポイントが理想としている形に比べ、かなり高い位置で離してしまっているので修正をします。地面すれすれから投げられるフォームにすることが理想なので、男子選手の映像などを参考にしながらフォーム改造に取り組んでいきます。ボールのスピードにもこだわりたいのですが、意識しすぎると自然と腕が横振りになってしまうので、まずは理想のフォームを完成させてその上で、スピードアップに臨みたいと思っています」
――今後の抱負を教えてください
「来シーズンはとにかく、少ないチャンスを物にすることです。早くトップチームに上がって将来的に、誰にも真似されないフォームで投げられる投手になりたいです。そして野球少女から憧れられる存在になりたいと思っています」
(Full-Count編集部)