今季も“強肩自慢”が球場を沸かす 昨季、唯一2桁補殺を記録した鷹上林
阪神のベテラン・福留は6補殺で5位にランクイン
○セ・リーグ
1平田良介(中)9補殺/134試合
2鈴木誠也(広)8補殺/116試合
3亀井善行(巨)7補殺/114試合
3大島洋平(中)7補殺/141試合
5福留孝介(神)6補殺/113試合
補殺数もパのほうがやや多い。「2桁補殺」は強肩の外野手の代名詞だが、今季は両リーグ合わせて上林1人だけ。ただパには、71試合で7補殺の岡、78試合で7補殺の荻野がいる。1試合当たりの補殺の比率はこの2人のほうが上林よりも高い。
補殺が増える条件はいくつかある。守備位置は中堅よりも左翼、右翼。強肩に加えて俊足、さらには中継する内野手の能力も影響する。また、強肩であることが他球団に知れ渡ると、コーチが走者に進塁を自重するように促す傾向もある。そうした「抑止力」も外野守備能力の一つだといえよう。
ところで、球史に残る外野補殺数を記録した現役選手がいる。今は一塁手となっている日本ハムの中田翔だ。彼は、2012年に19補殺を記録している。NPBの外野手シーズン最多補殺は、1950年、大洋の平山菊二が記録した24だがこれは両翼90m、中堅110mの狭い球場が標準だった時代の記録。両翼100m中堅122mが標準になった1989年以降の5傑はこうなる。
1平野謙(西)1989年 21補殺/98試合
2中田翔(日)2012年 19補殺/138試合
3柴原洋(ダ)2001年 17補殺/139試合
3田口壮(オ)1997年 17補殺/135試合
5荒波翔(De)2013年 16補殺/124試合
中田は投手出身だけに強肩で、左翼から本塁突入する走者を刺すのが得意だった。しかし翌年の補殺は7に減った。走者が自重するようになったのだ。一見シンプルに思える外野守備だが、様々な要素が絡んでいることが数字から見えてくる。
(広尾晃 / Koh Hiroo)