「野球不毛の地」ラオスで人気が拡大 アジア大会出場効果で女子チームも誕生

アジア大会、ラオス-タイ戦終了後に握手を交わす両チーム(ラオスはグレーのユニホーム)【写真:豊川遼】
アジア大会、ラオス-タイ戦終了後に握手を交わす両チーム(ラオスはグレーのユニホーム)【写真:豊川遼】

韓国球界初の3冠王、李萬洙氏が普及に大きく貢献

 世界には日本やアメリカのようにプロとして野球が栄えている国もあれば、逆に野球という言葉すら存在しない国もある。野球を知らない人々を相手に普及活動を行い、継続的な支援によって国際大会デビューまで果たした国、それがラオスだ。

 世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が発表する最新ランキングで、日本は昨年末、再び1位に返り咲いた。公式HP上ではランク入りに必要なポイントを獲得している国と地域が紹介されており、その数は76チーム。もちろん、ランキングに名前が載っていなくても、小規模ながら野球に親しむ国もある。その1つでもあるラオスでは、1月18日から20日まで首都ヴィェンチャンにあるチャオ・アヌウォン国立競技場を舞台に国際野球大会が開催される。

 東南アジアでは唯一の内陸国であるラオスで本格的に野球が始まったのは2014年とまだ日が浅い。現地ではサッカーが人気で、以前は「野球」という単語すら存在していなかったほど「野球不毛の地」であった。

 そんな状況の中で立ち上がったのは、韓国プロ野球黎明期を支え、サムソンライオンズの捕手としてチームを牽引し、球界初の3冠王にも輝いた李萬洙(イ・マンス)氏だった。当初は友人から「ラオスで野球を教えてほしい」と依頼されて始まった普及活動だが、SKワイバーンズの監督を退任後には韓国でグラブやバットなど野球道具を集め、国内初のチーム「ラオJブラザーズ」の誕生にも尽力。この活動を始めた翌2015年から毎年1月に「韓国-ラオス国際野球大会」と銘打ち、韓国やラオスなどその他周辺国の青少年チームを先着順で10チームを集めて交流会を開催している。そして、今回が5回目の開催となる。

 この大会は、ラオスで野球に触れる機会を増やすことも目的としている。昨年8月、インドネシアで開催されたアジア大会において国際大会デビューを果たしたラオスは、タイ、スリランカと対戦したが、残念ながらタイに0-15、スリランカには10-15で敗れた。2連敗はしたが、国際大会に出場したことでラオス国内の野球熱が高まるきっかけとなり、最近では女子野球チームも誕生した。

 国内外の人々の熱心な活動により、野球は少しずつではあるが、着実に存在感を増している。18日から始まる国際野球大会も、ラオスに住む人々に新しいスポーツの選択肢を与え、野球がさらなる発展する一助となるはずだ。

(豊川遼 / Ryo Toyokawa)

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