宮崎、沖縄、ベロビーチ…日本のプロ野球を築いてきた巨人軍の春季キャンプ
「9連覇」はベロビーチキャンプに端を発する?
1961年、巨人は中南米遠征以来6年ぶりに海外キャンプを実施した。フロリダ州ベロビーチで、ロサンゼルス・ドジャースと合同キャンプを張ったのだ。名著「ドジャースの戦法(アル・キャンパニス著、内村祐之訳)」が日本で刊行されたのは1957年のことだったが、コーチ時代にこの本を読んだ川上哲治は、監督に就任したらドジャースとの合同キャンプを実現させたいと強く願っていた。
巨人ナインは、ドジャースとの合同練習を通じて、練習法や作戦について徹底的に学び、意識改革を行った。さらに、巨人は1963年にはコーチの牧野茂をベロビーチに派遣し、アル・キャンパニスから直接指導を受けた。巨人の1965年からの空前の「9連覇」は、このベロビーチキャンプに端を発するといってもいいだろう。
巨人は以後も数年おきにベロビーチでドジャースと合同キャンプを行っていたが、1983年、バブル景気によって円が強くなると、宮崎市と併用してグアム・パセオ球場でキャンプを張るようになる。移動の費用を含めても、海外キャンプのほうが安くなったからだ。グアム・キャンプは1999年まで続いた。
宮崎県の春季キャンプ地では、1974年に宮崎市営野球場が完成。2001年には3万人を収容するサンマリンスタジアムが完成し、室内練習場やサブグラウンドなども完備された南北2キロに及ぶ最大級の施設になっている。
2011年からは沖縄県那覇市の奥武山公園・奥武山総合運動場を二次キャンプ地として使用するようになる。こちらもセルラースタジアム那覇を中心とした大規模な施設だ。
現在は、2月キャンプ開始時点では1、2軍が宮崎市のKIRISHIMAヤマザクラ宮崎県総合運動公園でキャンプを張り、3軍は奥武山公園でキャンプを行う。中盤になると、1軍が沖縄に移動し、3軍が入れ替わりに宮崎市に入る。
巨人のキャンプは、宮崎、沖縄ともにファンサービスも充実し、売店や飲食施設の規模も大きい。一日かけて野球の楽しさを満喫できるだろう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)