DeNA今永昇太が豪州で捨てたフォームの迷い、手に入れた新たな感覚と視点

「フォームで迷わなかったということが一番の収穫」

 オーストラリアで取り組んだことは2つあった。1つは、マウンド上で入り込みすぎないこと。打者との18.44メートルという空間を大きく捉えることだった。

「まずはミットをガッと見に行きすぎず、打者との空間をフンワリ捉える。日本とは違って、僕にも相手にもデータや先入観がない中で感じる空気だったり、このバッター打ちそうだなっていう危険察知だったり。バッターとの距離感が分かった時に、調子がいい悪い以外の部分で勝負ができるんじゃないかと思ったんです。なかなか日本では試せないことを、本当にイチから大胆に取り組むことができたと思います」

 そしてもう1つは、昨年から木塚敦志1軍投手コーチらと築き上げた投球フォームの継続だ。昨年の秋季練習では全体練習が終わった後に「毎日、約2時間ずっとつきっきりで練習を見ていただいた」。また、大家友和ファーム投手コーチからもいろいろな話を聞き、「そこで掴んだものをオーストラリアでも意識した」と話す。

 今永の投球フォームは、打者から見ると左手が遅れて出てくるように見える。そのため、打者はタイミングを取りづらくなっているが、昨季は必要以上に左手が遅れることが多かったという。

「左手が背中側に入りすぎて、体のラインから出てしまうんです。なので、右足をついた時に、思ったほど左肘が上がってこないのに、そのままリリースしようとしていた。体重が後ろに残って上体だけで投げている時もありましたし、肩をかばいながら投げるようなフォームになっていた時もあります。僕の持ち味は、力感がないフォームから予測以上のボールが来るというところ。それが力感通りのボールがいっていたんですね」

 その意識が間違っていなかった証拠が、オーストラリアで残した圧倒的な成績だろう。それでも「変化球は抜けているボールも多かったし、真っ直ぐでの空振りも日本の打者は絶対に振らないものだった」と、結果はあまり重視していない。今永が何よりも手応えを感じたのは、「自分の中で投球フォームに迷いが生じなかったこと」だ。

「正直、自信はまだありません。でも、迷いはない。自分が元々持っていた感覚が戻ってきた感じ。フォームで迷わなかったということが一番の収穫ですね」

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