選抜出場32校決定、落選、サプライズ? 各地区の選考理由【関東・東京地区編】
最後の6枠目は最速152キロの及川が能力の高さを証明した横浜
第91回選抜高校野球大会の出場校を決める選考委員会が25日に大阪市内で行われ、出場32校が発表された。21世紀枠の3校は石岡第一、富岡西、熊本西に決定。北海道は明治神宮大会を制した札幌大谷に加えて、札幌第一が選出された。
近畿では大会3連覇と春夏春の3季連続優勝がかかった大阪桐蔭が落選、関東・東京の6校目は関東大会8強の横浜が東京大会準Vの東海大菅生との激戦を制し選出されるなど今回の選考も様々なドラマがあった。ここでは各地区の選考理由を振り返る。今回は関東・東京地区。
関東・東京は関東大会4強の桐蔭学園、春日部共栄、習志野、山梨学院、都大会優勝の国士舘が選出され、最後の1校には横浜が選ばれた。磯部史雄委員長(日大三→法政大→日本石油)は6チームの選考理由を以下のように説明している。
○桐蔭学園
「関東1校目の桐蔭学園は、エース・伊禮投手の好投と粘り強い打撃で関東大会を制しました。技巧派左腕の伊禮投手は、内外角の低めを丁寧に突くストレートと緩いカーブのコンビネーションが絶妙で打たせてとるピッチングは見事でした。1回戦で9回の土壇場にキャプテンで3番を打つ森選手が逆転満塁サヨナラ本塁打を放つなど、この大会3本塁打12打点の活躍でけん引役となりました」
○春日部共栄
「エースで4番を打つ村田投手の活躍が光りました。長身から投げ下ろす球には威力があり、141キロのストレートと追い込んだ後のスプリット、フォークが生き、打者を翻弄しました。試合を重ねるごとに調子が上がり、準決勝の山梨学院戦では三振9個の1失点で完投しました。打撃陣も準々決勝で横浜高校の本格派左腕の及川投手から3回までに本塁打2本を含む5点を奪った集中打は印象的でした」
○山梨学院
「左の相澤、駒井両投手と右スリークオーター・佐藤投手のタイプの違った3人の継投策でベスト4入りしました。中でも相澤投手はタイミングを外した打たせるピッチングが冴え、バックからの信頼も厚いものがありました。打線も好調で1回戦と準々決勝ではともに二桁安打を放ち、特に4番を打つ野村選手が2試合連続の本塁打とパワーを発揮しました」
○習志野
「タイプの違う3人の投手の継投策で勝ち進みました。コントロールとテンポの良さで投げる山内投手、右下手投げの岩沢投手、145キロのスピードボールが武器の飯塚投手がそれぞれ持ち味を発揮しました。1回戦の桐生第一との試合で延長でタイブレークとなりましたが、6回から14回まで4安打0点に抑えた飯塚投手の好投が勝利に貢献しました。野手では3番を打つ根本選手が中心で攻守走3拍子揃ったプレーが光りました」
○国士館
「東京大会でも継投策を貫きました。長身の白須、山崎両右投手と、目先を変えた左の石橋投手。いずれも打たせるタイプでバックの堅い守りとチームワークで東京大会を制しました。特に長打力のある打者はいませんが、チームは機動力野球を目指しており、3番・冨田選手を中心にランナーを出して主導権を取りたいところです」
○横浜
「東京2番目の東海大菅生高校の比較検討となりました。関東ベスト8の中でシードされた東海大甲府が初戦で敗退。前橋育英、佐野日大、横浜といずれも準々決勝は大差で敗れ、難しい選択となりました。その中で決め手は大会屈指の及川投手のいる横浜高校でしたが、及川投手の持ち味は最速152キロのスピードボールと鋭いスライダーで三振を多く取れる投手で神奈川県大会でも強豪の東海大相模、慶應戦で二桁奪三振を記録したほか、関東大会1回戦で甲府工業から9三振を奪い、能力の高さを証明しました」
「一方、東京大会で二松学舎、早稲田実業を破って決勝まで勝ち進んだ東海大菅生は、左腕・中村投手がノビのある速球とキレの良い変化球で安定感のある投球を披露しましたが、決勝では国士館に後一歩及びませんでした。大会を全体を通じて関東に比べるとやや低調で、激戦の神奈川を制した横浜が総合力で上回るとの意見でまとまりました」
(松倉雄太 / Yuta Matsukura)