韓国野球関係者の尽力で開催されるラオス野球大会 日本人右腕が語る“魅力“

「韓国・ラオス野球大会」で日本チームの先発としてマウンドに立った安谷屋正尚氏【写真:豊川遼】
「韓国・ラオス野球大会」で日本チームの先発としてマウンドに立った安谷屋正尚氏【写真:豊川遼】

韓国人選手ともプレー「政治的に日本との関係は不安定ですが…ハイタッチでみんなが1つに」

 今大会はラオスの首都・ビエンチャンにあるチャオ・アヌウォン国立競技場(サッカー場)で行われた。マウンドがないため、代わりにとび箱のとび台のような簡易的なものが用意され、日本では考えにくい環境で試合が進行した。大会開始前から1日5試合とハードなスケジュールが予定されていたこともあって、1試合1時間半の時間制で開催された。

 2回目の参加となった安谷屋氏は1月18日の試合に出場するためだけにラオスを訪れた。背番号18のユニフォームを着てマウンドに立つと最速140キロの直球を中心にツーシームやスライダー、カーブなど多彩な球種を駆使して韓国の社会人チーム相手に4回2失点。堂々の投球をみせ、5-2と日本チームの勝利に大きく貢献した。試合後には韓国プロ野球初の3冠王でラオスでの野球普及に尽力する李萬洙(イ・マンス)氏から「ナイスピッチング!」と激励されるなど満足した表情をみせていた。

 ラオスは主に韓国球界関係者の協力によって野球普及を行っていることもあって今大会には多くの韓国人選手が参加した。言葉の壁こそあるが、同じグラウンドに立つとその壁が一瞬にしてなくなる。実際に出場した安谷屋氏に韓国の選手と一緒にプレーして感じたことを聞くと次のような答えが返ってきた。

「韓国といえば政治的に日本との関係は不安定ですが、野球を通じて一緒にプレーしてみるとファインプレーや打者を抑えたときには共にハイタッチをしますし、みんなが1つになります。(参加して)とても楽しかったです。また大会があればぜひ参加したいですね」

 今回のラオスでの野球大会はWBCや世界野球プレミア12のような地位の高い国際試合ではなく、現地で野球認知度を高めることを目的とした交流試合となる。それでも参加した選手たちは勝敗のことは二の次に国籍を越えてただ白球を追っていた。これこそ野球、スポーツの本来の姿なのかもしれない。

(豊川遼 / Ryo Toyokawa)

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