「壊れてしまったらしょうがない」鷹戦力外→燕移籍、寺原隼人が胸中を激白

戦力外からヤクルト入り「またイチからという気持ちで」

 ただ、寺原はヤクルトで迎えた2019年を「またイチからという気持ちで僕の中ではやっています」と言う。これまで積み上げてきた実績など、頭の中にはない。

「元々、戦力外になっているわけですから。こうやって拾ってもらっているので立場が全然違う。ヤクルトで実績を残している投手とは、全く立場が違う。18年間、長く野球生活をやっているかもしれないですけど、話は別です」

 35歳のベテランだが、また新鮮な気持ちでキャンプを送れているという。「全然カラーが違いますよ。やっぱりこう、なんて言うのかな、新鮮な目で見てくれているというのは感じますし、そう思っているし。やり方の違いも、言われることも違いますし、なんかまたより気持ちが引き締まる感じがしますね、新しい球団になると」。ダイエー、横浜、オリックス、そしてソフトバンク。これまでとまた違う環境を楽しんでいるようにも見えた。

 ソフトバンク時代の2014年に右膝を手術。2015年には8勝を挙げたが、その後は膝の痛みと“付き合いながら”プレーを続けてきた。若手の台頭、チームが世代交代を推し進めたこともあって出場機会は限られるようになり、昨季は21試合で防御率2.39という成績を残しながら、非情な通告を突きつけられた。

 右膝は完治することはなく、今後もケアしながら付き合っていくしかない。ヤクルトからもらった貴重なチャンス。寺原は覚悟の思いを口にした。

「とにかく悪くならないようにする、プラス、壊れてもいいと思ってやっているので。ケアしながら投げますけど、一生懸命やって壊れてしまったら、しょうがないという気持ちでやっている。特に今年は」

 拾ってくれたヤクルトのために、なんとしても結果を残したい。それと引き換えに、膝が痛んでも構わない――。覚悟を決めた35歳、寺原隼人。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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