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「紳士協定」「暗黙の了解」での実施はどうか? 新潟県高野連への提言

新潟県高等学校野球連盟(新潟県高野連)は、昨年12月22日に行われた「NIGATA野球サミット2018」(主催・新潟県青少年野球団体協議会)で春の県大会から1試合100球の投球数制限を発表した。

多くの指導者からは「投球回数制限の方が現実的」という声も

 別の考え方は投球数ではなく投球回数だ。「野球の球数は青天井です。1イニングで50球や100球になってしまう可能性は0%ではない。ならば、球数よりは回数の方が現実的」という声は、多くの指導者から聞いた。竹中事務局長も私見としながらも、「私はやるなら投球回数の制限だと思っています。例えば9イニングまでは投げられるけど、10イニング目から別の投手が投げるとか」と以前から話している。

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 他にも、これまで2人の投手がいれば十分だったのに、3人目、4人目と投手育成するために、野手に対して不本意な形での投手転向を求めてしまう可能性もある。「投手よりも野手が好き、打撃が好き」という野球選手もいることも忘れてはいけない。

 2人以上の複数投手制は日本高野連が25年以上前から推奨してきており、春の選抜出場校は70%以上、夏の甲子園出場校は80%近くが複数投手を実践できているという実績もある。複数投手が2人で良いのか? 3人目、4人目、5人目もいるのか? でも考え方は違ってくる。地方大会を見る限りは、3人目以降の投手に苦労する高校も多い。

 また、高校野球は3学年でやる期間よりも、2学年でやる期間が圧倒的に長い。秋に3年生が練習に参加することはあるが、3学年がそろうのは、多くは4月から7月までだ。実際に秋季大会は部員不足で全体の約10分の一が連合チームで出場せざるを得ない状況。春季大会も3月開幕の地域は2学年での出場だ。当然ながら、2学年の方が部員数は少なくなる。投球制限を設けると、やりくりに失敗して、大会途中や試合途中で棄権するような高校が出てくる可能性がある。そういったことにも目を向けなくてはいけない。公認野球規則1.05(試合の目的)には、「各チームは、相手チームより多くの得点を記録して、勝つことを目的とする」という一文もある。野球の試合は点を取って勝つことを目的としているスポーツだ。

 発足する有識者会議では様々なことを考えた上で、多角的な視点での検討が求められる。全国の加盟校へのアンケートを実施する可能性もある。1年をメドとする期間でどんな答申が示されるか、注目したい。

 新潟県高野連では、日本高野連からの文書を受けて、今後どうするかを協議するという。ただ、今春の導入に向けて準備をしてきた事実もある。実際に複数投手育成に着手してきた高校も多いと聞いた。日本高野連の「投球数制限を認めないというのではなく、もう一度考えていただけないか」というのは、決して上から目線の待ったではなく、あくまで提案だ。

 ならば、やり方はいくらでもあるではないか。規則にあえて盛り込まなくても、全加盟校の意見が一致しているなら、「暗黙の了解」「紳士協定」でやってみればいい。

 まず、新潟が動くという姿勢がブレる必要はない。その上で有識者会議に入って、サンプルとなるデータや効果を発信していけばいい。「暗黙の了解」「紳士協定」なので、表向きにやりますと公言する必要もない。それで「暗黙の了解」「紳士協定」を破るチームがあるとしたら、全加盟校に意見が一致してないという課題が出ることにもなる。逆にこれが成果となれば、規則ではなく、指導者やチームの意識だけで自主的に投球制限することにも繋がる。それが本来理想とする姿なのではないだろうか。

 日本高野連も、新潟県高野連も、さらに関わる全ての野球人が球児たちの体ことを考えて動いている。動き方に違いはあるとしても、全ての野球人が、趣旨そのものや方向性は同じだと信じたい。

(松倉雄太 / Yuta Matsukura)

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