アメリカ野球の多様性を体現する独立リーグ 渡辺俊、久保ら日本人も多く在籍
四国アイランドリーグplusは選抜チームを組んで米と勝負
米の独立リーグのペナントレースの開幕は、4月中旬以降と遅い。MLBのスプリングトレーニングが終わり、MLB各球団のロースターが決定して、そこから漏れた選手が独立リーグに入団してくるのを待って開幕するからだ。中には、かつてのスター選手が独立リーグに流れることもある。そういう選手が入団すると、独立リーグ球団は大々的な宣伝をして、集客に結びつけようとする。
日本からも、多くの選手が独立リーグでプレーするために渡米している。最近では、ロッテのエースだった渡辺俊介や、ロッテ、阪神、DeNAで活躍した久保康友などが独立リーグでプレーした。MLB傘下の球団よりも入団しやすいこともあって、NPBを経由せずに、アマチュア野球や日本の独立リーグから入団する選手も多い。
独立リーグ球団の第一の目標は、MLBに選手を送り出すことだ。そのために、各球団はMLBとも友好関係を保ち、成績を公表するとともに、MLBのスカウトとも連携している。同時に野球の試合での観客動員にも熱心だ。試合前に様々なイベントを開催し、地域の観客を取り込もうとしている。ユニフォームなどオリジナルグッズを販売したり、試合中継を配信したり、規模は小さいがMLB球団と変わらないマーケティングを展開している。MLBの元有名選手が、独立リーグの幹部に就任するケースもみられる。
2015年から日本の独立リーグ、四国アイランドリーグplusが、選抜チームを組んで米の独立リーグと交流戦を行っていた。四国の関係者によると、米独立リーグは、リーグによって実力の格差が大きいが、トップクラスの独立リーグにはNPBでも即通用しそうな選手がそろっていたという。
2018年の時点で、MLBは2リーグ30球団、その傘下のマイナー球団はAAAからルーキー・リーグまで18リーグ214球団、さらにその外側に8リーグ59球団の独立リーグ。アメリカのプロ野球のすそ野は広い。そして多様だ。独立リーグはアメリカ野球のダイバーシティを象徴しているといえるだろう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)