「応援せずにはいられない」オリ榊原の初勝利 育成時代を知る球団レポーターの思い

18年からオリックス戦のリポーターを務める竹村美緒【写真:本人提供】
18年からオリックス戦のリポーターを務める竹村美緒【写真:本人提供】

「野球よりも費用を抑えられるから」と小学4年で空手を始める

 千葉県銚子市で、榊原家の3人兄弟の長男として誕生。幼少の頃から野球が好きだったけれど、最初は子供ながらに家計を気遣ったそう。「野球はお金がかかるから……」。そこで小4で始めたのは空手。仲のいい先輩も居たというのもあったし、空手なら「野球よりも費用も抑えられるかなぁ」と思ったからだといいます。

 そうやって始めた空手。いつも稽古場に迎えに来てくれたのは、父・和夫さんでした。お父さんの話をするときの榊原投手はとても誇らしげです。本当に自慢のお父さんなんだろうなぁ。

「うちのお父さん、やばいっす。めちゃくちゃ優しいんです。」

 お父さんも、野球観戦が好きだった。親子でよく野球を観たし、空手のお稽古から帰ると父とキャッチボールをしたり、家の前のグランドで一緒に走ったりもした。

 ある日、いつものように空手の稽古の後、父と一緒に帰宅すると、自宅で父が倒れた。脳梗塞だった。それ以来、約10年、父は今も入院したまま。会っても会話をすることはできないけれど、手を握りながら話しかけると笑顔で返してくれる。「俺も頑張るから一緒にがんばろう」。父の手を握り、そう言葉を伝えることで自分自身の力も湧いてくると言います。

 榊原投手が野球を始めたのは、小4の終わり頃、父が倒れた後からだった。叔父夫妻に育てられながら、一歩ずつプロ野球の道へ歩みを進めた。

「周りは絶対に無理だろうと思っていたと思います。でもそれを跳ねのけるくらい、やってやろう!! という気持ちがありました。」

 2016年に育成ドラフト2位でオリックスに入団すると、その言葉通り、翌年には支配下登録され、シーズン後半には先発ローテにも加わった。そして今年、開幕ローテを勝ち取り今季3戦目でプロ初勝利も挙げた。

「やってみなきゃわからないですね」

 諦めない気持ちが夢を叶えてくれるということを証明してくれました。次なる目標は「2桁勝利すること。そしてチームの優勝に貢献すること」。大きな翼を広げ、躍進一途のシーズンへ。今シーズンの榊原投手の一挙手一投足から目が離せません!!

竹村美緒(たけむら・みお)
2014年から17年までオリックス・バファローズスタジアムアシスタントMCとして活動。18年からプロ野球中継のオリックス・バファローズ戦のリポーターやヒーローインタビュアーを努める。休みの日でも京セラドームでのホーム戦には必ずといっていいほど顔を出し取材に励む。

(竹村美緒 / Mio Takemura)

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