営業マンに転身した元DeNA・内藤雄太 野球をやめた今だから「伝えたいこと」
自身の経験から生かした道具の管理 外国人選手に好評の打撃用手袋
「選手時代、手袋を頼んでから1か月くらい手元に来ないこともありました。僕だったら、すぐにほしいのでFranklinのものを『まとめて管理をさせてください』とお願いしました。開幕前に選手に手袋をいくつ使うのかと聞いたあと、多めに準備をしていました。アメリカのメーカーなのに、選手にとってはすぐに手元に届くので『なんで、そんなに早いんですか?』と聞かれたこともありました」
「Franklin」の手袋は、エチオピア産の羊皮を使っている。寒暖差の激しい気候の山の上にいる羊のため、伸縮性が強い。グリップも強く握れるため、パワーヒッター、特に助っ人外国人選手の使用が多い。元広島のエルドレッド選手は別のメーカーで使用していた手袋が1打席に1枚、3回振っただけで切れてしまうこともあったという。そこから「Franklin」を使用していた。現在もヤクルトのバレンティン、DeNA・ソト、ソフトバンク・グラシアル、西武・メヒア、広島・バティスタらも愛用しているため、各球団の通訳とは密にコミュニケ―ションを取っている。
第二の人生を歩き始めて、6年が経った。近年、NPBでも普及されてきているフェイスガード「C-FLAP」の日本総代理店にもなり、取り扱うようになるなど、多忙な日々を過ごしている。
戦力外通告を受けた時は将来への不安が大きかったが、今の仕事は充実している。もし、現役最後の自分に何か言ってあげられることがあるとすれば?と聞くと、こう答えが返ってきた。
「そうですね……まずは気持ちひとつで、次の仕事は見つかるということ。あと、僕は辞めてからよく言われたのは、選手の時から、人の目を見て、立ち止まって、挨拶をしてくれていたよね、と。僕にとっては当たり前のことでしたが、そういう人たちから繋がって、今、仕事を振ってもらったり、人と人を繋いでもらったりしています。野球選手の時は周りよりも、どうしても自分中心になってしまいます。ただ、目を見て挨拶をする、当たり前のことを当たり前にする。今後の人生の方が長いですから、こういうことを続けていった方が、自分に返ってくるよ、と当時の自分に伝えたいですね」