元DeNA戦士が「守りたい」野球人、子供たちの未来 C-FLAPがなぜ必要なのか
メジャー選手が言った一言が印象的 「僕がここに立てているのはC-FLAPのおかげ」
打者からは意外な反応もあった。コースの狙いを定める時、目隠し代わりとなって「低めを消せる」という。手を出さないよう、自分の目付の部分を決めやすい。また、頭部や顔面死球を受けた経験がある選手は、恐怖心が薄れ、踏み込んでいけるという声もあるという。
「フィット感がどうとか、目障りにならないかとか、気にする選手もいましたが、自分で角度を変えることもできるので、選手と話をしながら希望の角度で取り付けています。違和感なくできると言ってもらえています」
ただ一番、訴えたいのは、安全性だ。
「昨シーズン、メジャーリーグであったのですが、顔面死球を受けた選手が打撲で済みました。試合後の報道で、その選手が記者に『僕がここに立てて話ができているのは、C-FLAPのおかげ。だから、今の時間がある』と言っていました」
内藤さんらは自社で検査をして、145キロのボールが直撃してもC-FLAPの付いたヘルメットは無傷だったと話す。ケガを全く防げるわけではないが、陥没骨折や重症を打撲で済むような軽減はできる自信はある。NPBの選手が付けることで、球界の認知度は高まった。営業活動はしていないが、それでも広がりを見せたのは、安全性への評価と、選手たちのけがへの意識が高いことが挙げられる。
「僕は子供たちの間でも広まっていってほしいんです。プロ野球は最高峰のレベルじゃないですか。でも、アマチュアの世界にも150キロ近いボールを投げる投手もいます。死球を受ければ、軟式でも衝撃度はあります。草野球で目の付近に死球受けて、眼球破裂寸前だった方も知っています。アマチュアもレべルは上がっていますが、プロほどコントロールが安定しているわけではありませんから」
ポニーリーグなどでは、実際付けている団体もある。内藤さんは指導者の方々へ訴えかけた。
「今、使っているヘルメットの強度を皆さんに知ってほしいです。かぶっていれば、大丈夫という思い込みは危険です。あくまで頭部の衝撃を軽減させるものです。団体の方、指導者の判断が大切です。上を目指していくチームならば、投手も厳しいコースにバッターに攻めていきます。バッターも必死に結果を求めます。センスのある子どもでもスーパースターではありませんから、コントロールミスだって出ます。練習の時だって危険はあります。フェイスガードがあれば、安心して見られるんじゃないかなとも思います」
総代理店になっているが、カシマヤ制作所では直接販売、取り付けはしていない。全国的に見ても東京・ベースボールマリオ、名古屋・ツボイスポーツでしか購入できない実情、取り付けに時間がかかるという課題もあるが、内藤さんはすべての世代で理解を得られるよう、日々、奮闘している。
野球が好きで、野球に育ててもらった自負が内藤さんにはある。子供たちの身を守るのも、野球人としての義務だと思っている。