「求めれば求めるほど苦しくなって…」ロッテ3年目右腕を襲った突如の制球難

完璧主義からの卒業で前進「少しゆったり寛容になってもいいのかな」

「自分なりに改善方法を見つけようとしたんですけど、あれをやってもダメ、これをやってもダメ。じゃあ、どうしたらいいんだろう……って。同時に、自分の中で『どうしてこれができないんだ』っていうのが、すごくストレスになってしまったんです」

 技術面も精神面も自分が思うようにコントロールできなくなってしまった。「すべての面において、経験したことのないようなことを経験しました」と話す右腕に、「少し苦しみましたね」と声を掛けると、真っ直ぐだった表情を照れくさそうに崩して言った。

「だいぶ苦しみました。ちょっとだけじゃなかったです(笑)」

 2年目の昨季も試行錯誤の連続だった。ボールを投げること自体が怖かった時期もある。だが、「ここで投げ出してしまったら自分が後悔する。それだけはしたくなかった」と、とことん自分と向き合った。日々、自分自身と対話する中で、「大丈夫、できる」と呪文のように言い聞かせ続けたという。

 投球フォームのメカニック面は、当時2軍担当だった川越英隆・現1軍投手コーチや小野コーチのアドバイスに耳を傾けた。同時に、自分でも1つ殻をぶち破った。それは、完璧主義からの卒業だ。

 元々、研究熱心で妥協を許さないタイプ。選手が各自で練習メニューを決めていた高校時代には、インターネットを駆使して、いろいろなトレーニング方法や練習方法を試した。今でもオフは栄養やリカバリーに関する本を読み、知識を蓄えている。だが、以前と違うのは、“ほどほど”の感覚を掴んだことだ。

「すごく完璧主義だったんです。本当に窮屈なキチキチの中でやっていましたね。きれい好きですし、並んでいる物を見ても角度のズレが妙に気になったり(笑)。それが野球にも出ていました。でも、やっぱり人間なんで完璧にできないこともある。少しゆったり寛容になってもいいのかな、と思ったら、楽になりました」

昨年の台湾遠征で井口監督は高評価「エネルギーに変わりました」

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