ヤクルト山田哲、DeNA今永…セイバー目線で選出する3、4月の月間MVP【セ編】

DeNA・今永昇太(左)とヤクルト・山田哲人【写真:荒川祐史】
DeNA・今永昇太(左)とヤクルト・山田哲人【写真:荒川祐史】

「平成最後」の月間MVP、山田哲がセイバーメトリクス的に優れていた点は…

 ペナントレースは始まったばかりですが、セ・リーグの「平成最後」の月間MVPの選出をセイバーメトリクスの指標で試みます。スタートダッシュに成功した選手をデータで探り出してみましょう。

 月間MVPの選出基準ですが、打者の場合、得点圏打率や猛打賞回数なども加味されたりしますが、基本はNPB公式記録が用いられます。ただ打点や勝利数といった公式記録はセイバーメトリクスでは、個人の能力を如実に反映する指標と扱わないので、セイバーメトリクス的にどれだけ個人の選手がチームに貢献したかを示す指標で選べば、公式のMVPとは異なる選手が選ばれることもあることでしょう。

 そこで、セイバーメトリクスの指標によって3、4月の月間MVP選出を試みます。

◯3、4月の月間MVP セ・リーグ打者部門
山田哲人(ヤクルト)
OPS(出塁率+長打率)1.179 wOBA .504 RC27 13.69  
出塁率.523 長打率.656 四球数36  
盗塁数9 盗塁成功率100%(すべてリーグ1位)  

 NPBが発表した「大樹生命月間MVP賞」候補選手は8人ですが、今回は山田哲人の成績がズバ抜けていました。

 打率は坂本勇人(.350、山田は.333で4位)、本塁打はソト(11、山田は7本で4位)、打点はバレンティン(29、山田は19で4位)と打撃主要3部門のトップに山田の名前はありません。これまでの月間MVP選考の傾向でみると、首位打者であり、開幕から26試合連続で出塁を記録した、首位の巨人に在籍する坂本勇人が最有力であると考えられます。しかし、セイバーメトリクスの指標によって評価すると以下のようになります。

山田哲人 OPS 1.179 wOBA .504 RC27 13.69  
鈴木誠也 OPS 1.105 wOBA .474 RC27 11.03  
坂本勇人 OPS 1.030 wOBA .448 RC27 8.37  
筒香嘉智 OPS 1.010 wOBA .434 RC27 9.14  
ソト   OPS .941 wOBA .407 RC27 6.71  
近本光司 OPS .934 wOBA .421 RC27 7.30  

 山田の四球数36は2位の鈴木誠也(22)に大きな差をつけてぶっちぎりの1位です。そのため出塁率も.523と5割を超えています。つまり3、4月の山田は打席からダグアウトに戻るよりも塁に出る確率の方が高かったということになります。その出塁率と長打率を足して評価するOPS、各プレーの得点価値を累積して算出するwOBA、選手の得点創出能力を測るRC27といったセイバーメトリクスの指標によれば、山田がすべての指標で月間1位となりました。

 打撃だけではなく、盗塁数1位もさることながら成功率100%は圧巻です。盗塁による得点創出能力にも長けていることがわかります。守備面でも補殺数93は12球団1位。走攻守に渡りチームに貢献した山田を3、4月の月間MVPに推挙いたします。

 ちなみに、月間MVPルーキー賞を設けるとしたら、阪神の近本光司を推挙することになるでしょう。開幕から「2番・センター」としてスターティングメンバーに名を連ね、27試合(スタメン23試合)に出場、前述のセイバー指標すべて、ならびに盗塁数5はチームトップ。4月からは1番打者として定着していますが、打点15も大山悠輔と並んでトップタイ。4月25日のDeNA戦、1点ビハインドで迎えた9回2アウトから逆転3ランを放つなど、下位打線が作ったチャンスをものにする逆転打が目立ちました。そのためチームの勝利確率をプレーによってどれだけ上昇(もしくは減少)させたかを示すWPAもリーグ上位と、勝負強さも誇示しています。スカウト陣もご満悦のことでしょう。

今永はWHIP、QSともに安定感

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