ロッテ・レアード、ハム有原…セイバー目線で選出する3、4月の月間MVP【パ編】

有原は先発投手としては圧巻の内容、セイバーの観点からもMVPにふさわしい

◯3、4月月間MVP パ・リーグ投手部門
有原航平(日本ハム)
登板5 4勝0敗  
防御率 0.51 WHIP 0.60 QS率 100% FIP 1.92 K/BB 8.75(リーグ1位)
被打率 .145  奪三振率 9.00  
 
 4月21日時点での「大樹生命月間MVP賞」候補選手は9人ですが、有力候補と目されるのは以下の3人。

有原航平 4勝0敗 防御率 0.51 奪三振率 9.00 被打率 .168
山本由伸 1勝1敗 防御率 1.45 奪三振率 8.13 被打率 .102
甲斐野央 1勝10H 防御率 0.00 奪三振率 13.89 被打率 .083

 4月21日時点では候補に入ってませんでしたが、ルーキー初登板から12試合連続で無失点を継続している甲斐野も有力なMVP候補となり得るでしょう。しかし、規定投球回を超え、防御率、勝利数ともにトップの有原がNPB公式のMVP最有力候補と予想します。

 ではセイバーメトリクスの視点での評価を見てみましょう。

有原航平 WHIP 0.60 K/BB 8.75 FIP 1.92 RSAA 9.29 QS率100%
山本由伸 WHIP 0.65 K/BB 2.80 FIP 2.28 RSAA 6.98 QS率 75%
甲斐野央  WHIP 0.77 K/BB 3.00 FIP 1.83 RSAA 3.21  

 有原は先発5試合、35イニングで許したランナーが22、失点3と先発投手としては圧巻の内容で、日曜日のファイターズの試合を演出しています。QSもすべての試合で達成し4勝をマーク。RSAA(Runs Saved Above Average)という、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標

(リーグ平均FIP-選手個人のFIP)×投球回数/9

においても、リーグ1位の数値を示しています。
セイバーの観点からも今月のMVPにふさわしい成績を残しました。

 山本由伸もそれに匹敵する素晴らしい数値を残しているのですが、勝利数はわずか1。今季初登板となった4月3日は9回投げて無失点と完封に相当する好投を見せたのですが、味方の援護が全くなく結局この試合は0-0で引き分けとなりました。山本への援護率0.55は気の毒としか言いようがないのですが、その山本と2度対戦しているのがホークスの大竹耕太郎です。

 大竹の4月の成績は4試合に先発し

防御率 0.89 WHIP 0.86 K/BB 5.00 FIP 2.63 RSAA 5.67

 と、こちらもかなり優秀な成績を収めているのですが、援護率が0.56と援護に恵まれず、4月までの勝ち星は0。4月3日の試合はその山本と大竹の投げ合いでした。優秀な両者がぶつかり合ったことによって壮絶な投手戦が繰り広げられ、どちらにも勝ち星がつかないという結果に終わったのです。

WHIP: 1イニングあたりに許したランナーの平均数
K/BB: 奪三振数/与四球
FIP:被本塁打、与四死球、奪三振のみで投手能力を評価する指標
QS率:全先発登板におけるQS(クオリティスタート)の割合

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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