菊池雄星の“松ヤニ疑惑”で注目された不正投球 メジャーで常態化している背景とは?
米ヤフースポーツのマイク・オズ記者「このようなことは常態化している。これは誇張ではない」
■マリナーズ 10-1 ヤンキース(日本時間9日・ニューヨーク)
8日(日本時間9日)に行われたヤンキース戦で、8回途中1失点と好投し、今季2勝目をあげたマリナーズの菊池雄星投手。敵地ヤンキースタジアムで強打のヤンキース打線を6回途中まで無安打に封じる圧巻のピッチングを見せた左腕だが、この試合後、米メディアやSNS上では菊池が帽子のツバの裏に“滑り止め”となる松ヤニを付けていたのでは、とする“松ヤニ疑惑”が浮上した。
ヤンキースファンを中心に菊池を批判する声とともに、擁護する声も数多く上がった。メジャーリーグでは投手がボールに対してのグリップ力を上げるために、何らかの物質、例えば松ヤニだったり、ローションであったり、時にはジュースだったり、を暗黙の了解で使っているからだ。大きな物議を醸すことになった中、米「ヤフースポーツ」のマイク・オズ記者は「ヤンキースファンよ、キクチの松ヤニについて黙るんだ」と題したコラムを掲載。その中で、暗黙の了解の下で、不正投球が“常態化”しているMLBの現状を詳らかにしている。
オズ記者はコラムの記事の中で「このようなことは常態化している。これは誇張ではない。もちろん、ルール違反である。しかし、そのルールは取り締まられていない。そのため、このようなファンたちによる騒ぎは毎年何度か発生する」と記し、投手たちによる“滑り止め”の使用が日常化していると断言。そして「投手はボールのグリップをよくするために様々な異物を使用する。松ヤニは定番である。制球を良くするためである。相手打者は2つの理由で気にしない」とし、打者側から“苦情”が出ない理由も挙げる。1つは「打者は投手がそのようなことをしていると知っている」で、2つ目は「現代では投手の球が速く、打者は頭に球が飛んできてほしくない」というものだという。
2014年に、現在ツインズに在籍するマイケル・ピネダ投手が、首筋に松ヤニを付け、それを使った不正投球により10試合の出場停止を受けた。当時、ピネダが所属していたのが、ヤンキースだった。オズ氏はこの時を振り返り「彼は首につけていた松ヤニではなく、あからさまだったことが問題となった。彼がプレーしていたチームは? その通り、ヤンキース。そのため、今怒っているヤンキースファンたちの中には、ピネダの件が問題となったことに怒っていた人たちがいる可能性がある」と指摘した。