日ハム栗山監督「魂は大事なもの」 谷口の1088日ぶり本塁打に目を細める

日本ハム・谷口雄也【写真:石川加奈子】
日本ハム・谷口雄也【写真:石川加奈子】

右膝前十字靭帯手術から復帰、栗山監督「魂は大事なもの」

■西武 6-3 日本ハム(12日・札幌ドーム)

 日本ハムの谷口雄也外野手が12日、本拠地・西武戦で16年5月19日ソフトバンク戦以来となる1088日ぶりの本塁打を放った。チームは敗れたものの、17年3月の右膝前十字靭帯手術からの完全復活をアピールした。

 大きな弧を描く打球に3万5000人を超える大観衆の目が釘付けになった。5点を追う7回1死一塁、谷口が西武の先発・十亀がカウント1-1から内角低めのボールをすくい上げる。打球が切れることなく、右翼席に飛び込むと、この日一番の歓声が沸き起こった。

「インコースのスライダーがうまいこと、ひっかかりました。思ったよりか飛んでくれました」と振り返る技ありの一発で、愛工大名電高の先輩でもある十亀をKO。劣勢ムードをひと振りで反撃ムードに変えてみせた。

 7日のイースタン・リーグ、ロッテ戦で4打数3安打1本塁打と好調ぶりを見せつけ、10日に1軍昇格したばかり。前日11日の西武戦には「6番・左翼」で先発出場し、965日ぶりの安打を放つなどマルチ安打で勝利に貢献した。この日は「負けていたので」と本塁打を放った後も笑みをこぼすことはなかったが、2日連続で大きなインパンクを残した。

 故障が癒えて実戦復帰した後も苦汁をなめてきた。昨季はシーズン終盤に代打で6試合出場して安打なし。開幕1軍入りを果たした今季も出番がないまま4月1日に出場選手登録を抹消された。

 この日の試合前、栗山英樹監督はファームから這い上がってきた谷口と石井一成内野手に触れて「人間が必死になっている姿、魂は大事なもの。『野球をやっていて良かったな』という思いを(チームに)持ち込んでほしい」と語っていた。まさに魂を感じさせるこの日のひと振りに、指揮官は試合後「いいホームランだった」と目を細めた。

 左太もも裏の張りでファーム調整中の王柏融外野手が14日の敵地楽天戦から1軍復帰する。外野手争いは熾烈だが、つかんだチャンスを手放すつもりはない。「この状態を続けられるように努力したいです」と谷口は表情を引き締めながら力を込めた。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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