鷹の米ドラ1右腕獲得、剛腕代理人ボラス氏がMLBを痛烈批判「価値を下げている」

昨年ブレーブスからドラフト1巡目指名を受けていたカーター・スチュワート【写真:Getty Images】
昨年ブレーブスからドラフト1巡目指名を受けていたカーター・スチュワート【写真:Getty Images】

米全国紙「USAトゥデー」は「球界の実験台」と指摘

 ソフトバンクが獲得すると報じられている昨年の米ドラフト1巡目(全体8位)指名選手のカーター・スチュワート投手。ブレーブスに指名されながらも、契約に至らず、イースタンフロリダ州立短大に進学した。今年のドラフト候補にも名前が挙がる中で、日本球界入りするという決断に、日米に衝撃が広がっている。

 アメリカの若手有望株がアマチュアから直接、日本のプロ野球に加入するという前代未聞の獲得劇。米全国紙「USAトゥデー」は、このスチュワートのソフトバンク入りを「球界にとっての実験台」と表現し、アメリカの若手有望株にとって、日本球界入りが新たな選択肢の1つとなり得る可能性を指摘した。

「アマチュアのプロスペクトであるカーター・スチュワートがドラフトを回避する一方で、代理人のスコット・ボラスがMLBを批判する」とする記事を掲載した「USAトゥデー」。記事の中で「フロリダ出身の19歳の投手カーター・スチュワートは、球界にとっての実験台である。この契約は、球界をざわつかせるものである」と驚きを伝えている。

 その一方で、日本球界で数多くの選手が成長を遂げていることにも言及。「マサヒロ・タナカやユウ・ダルビッシュといった投手たちが、(メジャーで)1億ドルを越える契約を勝ち取るほどの技術を身に付けた場所だ。そして、マイルズ・マイコラスらアメリカ人投手たちがキャリアを再び発進させ、オールスターとして凱旋するために(海を渡って)足を運んだ場所でもある」とし、日本プロ野球のレベルの高さについて記している。

「スチュワートは確かに日本に行く意思は(もともと)持っていなかった」と、当初は日本球界入りの選択肢はなかったとも指摘。ただ、昨年のドラフト時の手首への懸念などによってMLB球団の評価が低下。「ドラフトまでたった2週間と迫っていたころ、スチュワートをドラフト1巡目として再び指名する球団が1つもないことを、彼とボラスは理解していた」。大学でも異常なく投げていたにも関わらず、1巡目指名が難しいことも、日本球界入りを決断する一因になったとしている。

 また、記事の中では、スチュワートの代理人を務める大物代理人のスコット・ボラス氏のコメントも紹介。ボラス氏は現在のMLBの若手選手の契約システムを痛烈に批判し、それもまたソフトバンク入りの要因の1つになったことを明かしている。

 ボラス氏は「代わりとなる選択肢も存在するということを、今こうして選手たちは理解していることだろう。そしてそれ(選択肢)は、経済的に断然メリットがあることだ。こういった選手たちには価値があり、我々のシステムは、こういった選手たちの価値を下げてしまっている」と語っている。

 メジャーリーグではドラフト指名されると、契約金を得るものの、その後のマイナー生活では数千ドル、日本円にして100万円にも満たない年俸しか得られない。さらにメジャー昇格を果たしても、年俸調停の資格を得られるまでは高額な契約を手にすることはほぼ不可能だ。

 そのため、ボラス氏は今回のスチュワートのソフトバンク入りを「経済的に断然メリットがある」と語っている。今回、米球界に新たな“選択肢”を示すことになったソフトバンクのスチュワート獲得。今後、日米球界の間でどんな動きが出てくるだろうか。

(Full-Count編集部)

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