敦賀気比が決勝進出 4番木下は星稜奥川との対決熱望「自分の力を試したい」
木下は高校通算30本塁打 星稜奥川は「トップレベルの投手。自分の実力を試せる」
第140回春季北信越地区高校野球大会は3日、富山アルペンスタジアムで準決勝が行われ、敦賀気比は日本文理に序盤から主導権を握り、13安打8得点を挙げて快勝した。先発の2年生右腕・笠島が5回2安打無失点と好投。2番手の岩田が捕まり3点を返されたが、8回に1年生の1番・大島の適時打で突き放した。敦賀気比は4日に決勝戦で星稜と対戦する。
昨夏の甲子園ではエース番号を背負ってマウンドに立った木下元秀(3年)の現在の背番号は「7」。昨秋の終わりヒジの痛みを訴え、病院で診察を受けたところ、左ひじの靱帯を損傷していることが判明。投手の練習からしばらく遠ざかり、今年2月後半に投球を開始した。春になるとエース番号をつけたのは同じ学年で投手のライバルだった右腕の黒田雄斗。黒田は今春の県大会でストレートが140キロ中盤を計測するなど、冬を超えて着実に成長していた。
もともと打者としての資質が高く、下級生時から中軸に座っていた。「打って投げられるのがカッコいい」と“エースで4番”を目指す木下からすると、エースとして本領を発揮出来ない自分が歯がゆかった。自分が1番をつけられたら――。もどかしさを心の奥に押し込み、この春は打者に専念。4番打者としてバットを振り続ける。春の公式戦が進むと、投球練習の時間も徐々に増えてきた。今では打撃と投球の練習は「五分五分」だという。
2日の高岡一戦では4回を投げてマウンド復活も果たした。「感じは悪くないです」と手応えは掴んでいるが、試合では打者としての評価が上昇中だ。高校通算本塁打はこれまで30本まで積み上げ、今日も二塁打、三塁打と長打を2本放った。
4日は決勝戦で星稜と対戦する。星稜とは3月に練習試合を組んでいたが、雨で中止になった。対戦を首を長くして待っていた153キロ右腕・奥川恭伸投手は4日先発する可能性が高い。「ぜひ対戦したいです。投げてくれないと困ります」と周囲を笑わせた木下。センバツの履正社戦は録画した映像で観戦。「左バッターでも体が反ってしまうようなスライダーって何なんやろうって、目が点になりましたよ」と当時の印象を明かす。「日本の高校生でトップレベルのピッチャー。自分の実力を試せるいい機会だと思うので、まずはこの目でボールを見て何かを感じられたら」と目を輝かせた。対打者としての対戦はもちろん、奥川と投げ合う機会もあるのか。敦賀気比の背番号7にも注目だ。
(沢井史 / Fumi Sawai)