菊池雄星、西武時代の“引き出し”が復活の鍵 空白の4日間で得た手応えとは?

右足の運びを西武時代に戻したマリナーズ・菊池雄星【写真:木崎英夫】
右足の運びを西武時代に戻したマリナーズ・菊池雄星【写真:木崎英夫】

修正ポイントは、顕在化した上体の突っ込み

 マリナーズの菊池雄星投手が、8日(日本時間9日)の敵地アナハイムでのエンゼルス戦で9日ぶりに先発のマウンドに上がる。5日(同6日)のアストロズ戦前にサービス監督が明らかにした。菊池は最近の2試合の登板で連続して4回途中でKOされ、直球の球速が落ちるなど投球に精彩を欠き、基本中4日で登板してきた疲労の影響が心配されていた。同監督は今月1日(同2日)に菊池の次回登板回避を発表。菊池は4日(同5日)に予定されていた先発を飛ばして調整期間に充ててきた。

 5月30日(日本時間31日)のエンゼルス戦で、菊池は2試合連続の10安打を浴び4回途中降板を余儀なくされた。その試合で最後に対峙したのが強打者の2番トラウト。カウント2-2からの内角低めスライダ―を左翼線に運ばれる2点適時打を許したが、全球内角を突く強気の姿勢を崩さなかった。しかし、ここでの6球に菊池はある種の異変を感じ取る。

「あそこで本来であればもっとギアを上げなきゃいけない場面ではあったんですけど……。ちょっと気持ちとボールがマッチしなかった部分があった」

 力みから上体が本塁方向へ早く流れてしまい、体重が軸足に乗りきらないまま踏み込むため腕が遅れて出てくる“腕投げ”になり、序盤から散見された上体の突っ込みがトラウトの打席で顕在化した。

――打開の緒は変えた右足の使い方

 登板回避が決まった翌日の2日(日本時間3日)、菊池は早速ブルペン入りする。一塁に置いた走者を想定したクイックと上げた右足を上下させる2段モーションから40球。途中、データ分析を基にした投球向上の指導を専門とするデル―ナス・コーチが早すぎる体重移動をテコ入れ。同コーチ自らが壁となり菊池の体を制止し本来のポイントまで押し戻す場面があり、その狙いはフォームのズレを感覚的に理解させることにあった。

 その日のブルペンで、菊池は右足の使い方を変えている。クイックで上げた右足を二塁ベース方向へと伸ばし、スパイクの底を見せるようにして一気に踏み出した。足を後方へ振ることで、前にズレ出した体重移動を抑止する形となり、ローテ復帰へ光を差し込んだ。

 スコット・サービス監督が菊池の復帰登板を明らかにした5日(同6日)、菊池は19球を投げた前日に続いてブルペン入りし、マリナーズ移籍後最多の69球を投げこんだ。3日前に見せた右足はよりスムーズな運びになり、そのフォームから繰り出される各球種のボールは切れを見せ、制球も定まり出した。菊池はその妙所を明解にしている。

「体重を上手く移動させて爆発的に地面の力を使うことは大事にしてきましたけど、この2試合は少し体が突っ込み気味で上手く下半身が使えていなかった。シーズン中ではあるんですけど、まず(右足の使い方を)変えてみようと今、やってます。3回入ったブルペンで今日が一番良い形で投げられました」

 上体が前に流れることで、軸足が地面を蹴る“爆発力”を生めない状態にあったが、菊池は右足の動きを変えてそのズレをほぼ解消するほどの感触をつかむに至った。

西武時代の2017年、2段モーションを指摘されフォーム修正を余儀なくされていた

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