「モノが違う」甲子園V監督がうなる名門校スーパー1年生投手のすごさとは

1年生から夏の奈良大会のベンチ入りをした智弁学園・小畠一心(左)と西村王雅【写真:編集部】
1年生から夏の奈良大会のベンチ入りをした智弁学園・小畠一心(左)と西村王雅【写真:編集部】

大型右腕で昨年U-15日本代表右腕の小畠一心と投げっぷりの良い左腕・西村王雅

 2016年春にセンバツを制した智弁学園(奈良)に“いろんな意味”で頼もしい新戦力が加わった。小畠一心(1年)と西村王雅(1年)のルーキー投手だ。入学してわずか3か月。今夏の奈良大会でもメンバー入りを果たし、3年ぶりの夏の甲子園出場を目指していく。小坂将商監督も「あいつらはモノが違う」と大絶賛だ。そのすごさに迫った。

 おっとり顔の小畠は身長183センチ、体重82キロの大型右腕。ユニフォームの太腿まわりはピッチピチで1年生とは思えない体つきをしている。自信があるというストレートは最速143キロ“らしい”。「ネットで見たらそう書いてありました。」涼しい顔で話すように球速にこだわりはないようだ。それどころか「好きな野球選手はいませんね。」とあっさり。見た目から、空気から、半端ない落ち着きを感じる。

 一方、少しやんちゃさも感じる左腕・西村は身長172センチ、体重65キロとタイプは全く違う。直球は138キロだが、球速以上に速く感じる投げっぷりの良さが魅力だ。西村もまた「プロ野球はほとんど見ないですね。」と淡々としている。リードする佐藤尊将捕手(2年)は、2人に共通してすごいところとして、“落ち着き”を挙げる。

「ピンチでマウンドに声をかけに行くと、すでに野手のほうを向いて自分から声をかけているんです。1年生でなかなかできないことだと思います。」

 入学してわずか3か月。小坂将商監督も「あいつらはモノが違う」と大絶賛だ。期待の大きさは6月の近畿大会準決勝、近江戦で小畠に先発を任せたことからも伺える。小畠は見事に8回を無失点に抑えた。2点のリードを背負って、9回は西村がマウンドへ。しかし、逆転サヨナラ3ランを浴びて、敗れた。「チャンスを貰ったのに最後、抑えられず、不甲斐なかったです」と野球の怖さを知った。

 西村の凄さを指揮官が感じたのはその翌日だった。岡山理大附との練習試合で西村を先発起用。5回を2安打無失点に抑える圧巻のピッチングで見事に前日の悪夢を払拭して見せた。この切り替えの早さには小坂監督も脱帽だったという。

 チームメイトでありながら、互いへの意識は相当。それはブルペンに入っている時に顕著にあらわれる。小畠が「(西村が)どんな球を投げているのかなとチラチラみてしまいますね。」というと「小畠がスライダーと言って投げていたら、自分もスライダーを投げたりします。」と西村。笑顔で話す2人だが、ライバル心はメラメラ。ただ、お互いに悪いところいいところは指摘しあっていて、毎日の練習で刺激しあえる大切な存在でもある。

 将来的にはプロの世界に入るという目標を掲げているが、今は口をそろえて「先輩達を甲子園に連れていくこと」と話す。実力はもちろんのこと、圧倒的な精神力をもつルーキーたち。夏のマウンドで堂々とした投球を見せることは間違いない。

○小畠一心(1年)【おばた・いっしん】
大阪府堺市出身。185センチ/82キロ。右投右打。小学校3年でソフトボールをはじめ、中学ではオール住之江ヤングに所属。外野手としてU-15日本代表。185センチから投げ下ろすストレートとフォークが持ち味。

○西村王雅(1年)【にしむら・おうが】
京都府宇治市出身。172センチ/65キロ。左投左打。小学校2年で御蔵山スポーツ少年団で軟式野球を始める。中学では京都シニアに所属。関西選抜に入り、ナンバー1左腕と評された。最速138キロながら、インコースにも強気に攻められる投球が持ち味。

【動画】スーパー1年生 名門・智弁学園に現れた1年生投手たち 小畠一心と西村王雅インタビュー

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