ヤクルト山田哲、史上初の“成功率100%盗塁王”なるか? 21盗塁連続成功中
中日大島と並びリーグトップ21盗塁 昨季から26回連続で盗塁成功中
4回目の「トリプルスリー」に挑むヤクルトの山田哲人。盗塁数は21で、中日の大島とともにリーグ1位だが、注目すべきは今季まだ1度も盗塁死を記録していないことだ。
山田哲は2018年8月22日の広島戦の8回に盗塁を試みて會澤翼に二塁で刺されたのを最後に盗塁死を喫していない。26回連続で盗塁に成功している。
○連続盗塁成功5傑
32 福田秀平(ソフトバンク)2011年~2015年
31 広瀬叔功(南海)1964年
29 呉昌征(巨人)1943年
27 飯田哲也(ヤクルト)1992年
26 宮崎剛(大洋)1950年
26 田宮謙次郎(阪神)1954年
26 松井稼頭央(西武)2001年
26 山田哲人(ヤクルト)2018年~2019年(継続中)
山田哲は現時点で5位タイ。あと6でソフトバンクの福田が5年をかけて成功した記録に並ぶ。
シーズンをまたがない単独シーズンでは、山田哲は現時点で21回連続で盗塁を成功させている。
○シーズン20盗塁以上の盗塁成功率10傑
1.松井稼頭央 2001年(西武)26盗塁0盗塁死 / 成功率1.000
1.仁志敏久 2002年(巨人)22盗塁0盗塁死 / 成功率1.000
3.山田哲人 2019年(ヤクルト)21盗塁0盗塁死 / 成功率1.000(継続中)
4.御園生崇男 1942年(阪神)24盗塁1盗塁死 / 成功率.960
5.広瀬叔功 1968年(南海)44盗塁2盗塁死 / 成功率.957
6.イチロー 2000年(オリックス)21盗塁1盗塁死 / 成功率.955
6.松井稼頭央 1995年(西武)21盗塁1盗塁死 / 成功率.955
6.河埜和正 1979年(巨人)21盗塁1盗塁死 / 成功率.955
9.川島慶三 2008年(ヤクルト)20盗塁1盗塁死 / 成功率.952
10.張本勲 1969年(東映)20盗塁1盗塁死 / 成功率.952
NPBでは1941年以前に盗塁死(刺)を記録していなかった時期がある。これは除外した。
20盗塁以上で盗塁成功率が10割だった例は2001年の西武、松井稼頭央(26盗塁0盗塁死)、2002年の巨人、仁志敏久(22盗塁0盗塁)に次いで今年の山田哲が3例目だ。成功率100%の西武松井、巨人仁志ともに、盗塁王にはなっていない。盗塁成功率100%で盗塁王になれば、山田哲が史上初となる。
セイバーメトリクスでは、盗塁は重要な作戦とはみなされない。失敗すると走者がなくなりアウトカウントも1つ増える。ダメージが大きいからだ。セイバーでは成功率が高くない走者は走るべきではないとされる。そういう意味では、ほとんど失敗しない山田哲は数少ない「走る資格がある選手」だといえるだろう。
今はリーグ屈指のスラッガーとなった山田哲だが、最初に注目されたのは「足」だった。履正社高時代の2010年夏の甲子園、2回戦の天理戦でホームスチールを決めたのだ。史上空前の4度目のトリプルスリーがかかるが、高い盗塁成功率にも注目したい。
(広尾晃 / Koh Hiroo)